2017 Fiscal Year Research-status Report
子どもの文字学習過程から探る色字共感覚のメカニズム
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16K17365
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| Research Institution | Rikkyo University |
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Principal Investigator |
浅野 倫子 立教大学, 現代心理学部, 助教 (40553607)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | 共感覚 / 色字共感覚 / 言語発達 / 発達段階 / 文字学習 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、文字に色を感じる色字共感覚のメカニズムを、幼少期の文字学習過程に着目することにより明らかにしようとするものである。研究代表者は「色字共感覚における文字と色の対応付け（色字対応）の形成には、発達における文字の学習過程が密接に関わる」という「発達段階仮説」（Asano & Yokosawa, 2013）を提唱しているが、それを直接的に検証し、理論を拡充、発展させることを目的として研究を進めている。具体的には次の二本の柱で構成されている：１．文字学習期にある小学生における色字対応の性質を縦断的に調べ、文字学習との関係を明らかにする。２．非共感覚者成人（特に、色字共感覚者ではないが似た傾向を示す高共感覚傾向者）の色字対応の性質と文字学習過程との関係を検討する。
平成29年度は、平成28年度に引き続き、上記１の小学生を対象とした実験の環境の整備を行った。また、これも平成28年度に引き続き、１と２両方を検討する上での基礎的なデータを得るために、共感覚者、非共感覚者を問わない成人に対し、現在および幼少期に自覚的な色字共感覚を持っているか（持っていたか）どうか等を問う質問紙調査を実施した。この調査により、平成28年度までの同様の調査で得られた、日本人成人における色字共感覚者および高共感覚傾向者の存在確率や、色字共感覚の保持率と発達の関係についてのデータの信頼性を高めることができた。また、平成28年度より、アメリカ、オランダ、スペイン、韓国の研究者と、五言語間比較の手法を用いて、発達段階仮説の妥当性の検証に繋がる共同研究を行っているが、その成果をまとめた論文が国際学術雑誌Cortexに掲載された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は小学生を対象とした縦断的実験を開始する予定であったが、実験に用いるプログラムなどの準備はほぼ整ったものの、小学生からデータを得るという実験環境（研究協力機関）を探す過程に遅れが生じ、実験開始に至らなかった。その間、成人を対象とした質問紙調査を推進し、成人期、およびその成人の記憶中の幼少期の色字共感覚保有率等についての基礎データを充実させることに注力した。
また、当初計画以外の点では、平成28年度からのアメリカ、オランダ、スペイン、韓国の研究者との五言語間比較研究の成果がまとまり、国際学術誌に論文が掲載されるという進展があった。この共同研究の成果は、研究代表者が提唱する「色字共感覚の発達段階仮説」を支持するものであり、当初計画との相乗効果によって、本研究課題の目的である当該仮説の検証および理論的拡充がなされた。多言語間比較という研究手法から得られるものは多く、同じメンバーたちとさらに研究を進めている。平成29年度は国内だけでなく、世界各地の共感覚研究者たちが集うシンポジウムで話題提供をする機会も複数あり、共感覚の最新の研究成果について意見交換をする場に多く恵まれた。
以上をまとめると、当初の研究計画の柱である小学生を対象とした実験の開始が遅れている点は大きな問題である。しかしその一方で、成人を対象とした調査のデータが充実した。また、国際的な研究展開という点では、当初の予想を大きく超える進展が見られている。そこで、総合的には、本研究課題は現在のところおおむね順調に進展していると判断した。
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| Strategy for Future Research Activity |
小学生を対象とした実験を推進する必要がある。研究協力機関の確保が当面の課題であり、小学校のほか、地域の学童保育、児童館など、幅広い対象への協力依頼を行う。平成29年度に協力機関の確保ができなかった理由の一つに、研究代表者が研究機関を異動する可能性があったことが挙げられるが、平成30年度と31年度はその問題は生じないため、状況は好転すると考えている。縦断的研究の期間が当初計画よりも短くなっているぶん、測定時点を増やしてより詳細な分析を可能にするなどして、研究の質を高める。
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| Causes of Carryover |
平成29年度は海外（北米）での学会2回分について旅費を支出することになったため、平成28年度からの繰越金も使用し、旅費の部分に多額の予算を立てていたが、結果としてはわずかに（8,622円）余る形となった。この未使用額は平成30年度に行う成果発表の英文校閲費用の補助として用い、平成30年度請求分については当初の執行計画通りに支出する。
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[Presentation] Influence of grapheme properties on the number of synesthetic colors for Japanese Kanji characters.2017
Author(s)
Uno, K., Asano, M., & Yokosawa, K.
Organizer
Object Perception, Attention, and Memory (OPAM) 25th Annual Meeting, Poster session 2 #3, Vancouver, Canada
Int'l Joint Research
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