2017 Fiscal Year Annual Research Report
The effect of sense of agency for controlling object on visual attention
Project/Area Number |
16K17368
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 亮一 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (30626073)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 主体感 / 視覚的注意 / 空間的注意 / 道具操作 / 意図 |
Outline of Annual Research Achievements |
人間が外界に対して行動を起こす際、通常「それを行ったのは自分である」という感覚が生じる。これを主体感と呼ぶ。本研究課題では、主体感研究の知見を踏まえ、主体感が生じている時の視覚的注意の制御について検討を行った。これまでに、自己の身体運動が視覚的注意制御に影響を与えることが示されている。その知見を拡張するために、身体とは離れた位置に存在するオブジェクトを操作する場面において、その操作に対する主体感が視覚的注意に与える影響を検討した。 人間を対象とした心理学実験を実施した。その際、ディスプレイ上に表示されたオブジェクトを、キーボードのキーを押して動かすという課題を作成した。また、たまにオブジェクト操作中に視覚刺激(標的刺激)が出現し、それの検出課題を課した。本実験の主たる興味は、オブジェクト操作に対する主体感が生じている場合に、標的刺激の出現位置によって検出成績が変わるかどうかであった。実験の結果、オブジェクト操作に対して強い主体感が生じている場合には、オブジェクトが動く方向(操作者が動かそうとした方向)に標的刺激が出現した場合の成績が高かった。これは、主体感が生じることにより、視覚的注意がある特定の位置に向きやすくなることを示唆する。さらに、後続の実験により、この効果はオブジェクトを動かすという意図と、実際に意図通りにオブジェクトが動くという結果の両方がそろった場合にのみ生じることが確認できた。 以上より、身体とは空間的に離れた位置に存在するオブジェクトの操作に対する主体感は、視覚的注意の制御に影響を与えることを示している。これは、これまでの自己の身体操作が視覚的注意に影響を与えるという知見を、身体とは異なるオブジェクトの遠隔操作へ拡張させる。この研究結果は、国内・国際学会で発表された。
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