2016 Fiscal Year Research-status Report
神経生理学的手法とfMRIを用いた左右認識に基づく動作選択過程の神経機構の解明
Project/Area Number |
16K17369
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
中山 義久 公益財団法人東京都医学総合研究所, 認知症・高次脳機能研究分野, 主席研究員 (30585906)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 大脳基底核 / 一次運動野 / ニホンザル |
Outline of Annual Research Achievements |
左右の身体表現の脳内表現を調べるため、当該年度は、左右の手を用いたボタン押し行動を行なっているサルより、一次運動野および大脳基底核の淡蒼球より神経細胞活動と局所フィールド電位(LFP)の記録を行った。行動課題は、画面上の右側に四角形が提示されたら右手で、左側に提示されたら左手で、手元に設置されたボタンを押すというシンプルなものを用いた。神経活動の記録は、24個の記録点をもつ多点電極を用いて行った。一次運動野、淡蒼球それぞれにおいて、(1) 同側の手の運動を表現する細胞、(2) 反対側の手の運動を表現する細胞、(3) 両側の手の運動を表現する細胞が見出された。それぞれの細胞の割合および、左右の手の表現の強さの偏りを調べたところ、どちらの領域においても反対側の手の運動をより強く表現していたが、その偏りは、淡蒼球よりも一次運動野の方が大きいことがわかった。以前記録した補足運動野のデータ (Nakayama et al., 2015) と淡蒼球を比較すると、見られた上記の3種類の細胞の割合の分布は類似していたが、補足運動野の多くの細胞が運動の開始に先行して活動を変化させるのに対して、淡蒼球の細胞は運動開始後に活動を変化させるものが多数であった。また、手の運動の左右の偏りは、一次運動野のLFPでより強く観察された。これらの結果は、淡蒼球と補足運動野は主に反対側の手の運動を制御するが、補足運動野が運動の実行に関与するのに対し、淡蒼球は実行された運動の調整に関与することを示唆する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サルを対象にした生理学的研究における神経活動の記録は継続中であり、複数の領域からの記録を行なっている。ヒトを対象にしたfMRI研究は現在準備中であり、来年度に実施する見込みである。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度も継続してサルを用いた研究を行い、神経活動の記録を行う。また、ヒトを対象にしたfMRI研究の準備を進め、実験の実施を行う。同時に、これまで取得したデータをもとに、結果をまとめ、欧文誌への投稿に向けて準備を行う。
|
Causes of Carryover |
実験の進行過程で得た新たな知見について、次年度に複数の学会で発表することを計画している。また、専門誌への投稿も予定していること、さらにヒトを対象とした実験を外部研究機関で行う予定であり、これらの費用を支出する必要が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に、学会参加の費用、専門誌への投稿に関わる費用、また実験実施のための出張費用として使用する予定である。
|
Research Products
(6 results)