2018 Fiscal Year Research-status Report
「アプローチ・カリキュラム」を用いた幼保小の接続に関する研究
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16K17371
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
飯野 祐樹 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (10633612)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アプローチ・カリキュラム / 幼保小の接続 / ニュージーランド / 児童センター |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、論文執筆を通しての成果報告に加え、ニュージーランドと秋田県で継続調査を行った。 論文ではニュージーランドの保育・幼児教育を取り巻く状況を、カリキュラムと小学校への移行過程に着目して検討した。まずカリキュラムについては、ニュージーランドのナショナル・カリキュラムと「質保障」との関連について検討し、ニュージーランドの幼児教育は知識経済に依拠した幼児教育政策の展開を試みようとする政府側の勢力と、確固たる哲学や展望を抱きそれを実現させようとする研究者・実践者側の勢力との対立軸を背景に色づけられてきたことが示された。次に保育施設から小学校への移行過程については、伝統的な「個別就学」から「集団就学」が採用されはじめた状況と課題について検討し、ニュージーランドにおける就学システムの移行過程は、地域が有する自主性や自立性を尊重する形で進められていることが明らかとなった。 継続調査について、秋田県の調査では、小学校との連携についてカリキュラム作成の点から児童センターの関係者にインタビュー調査を行った。ニュージーランドでは、移行過程の実際、及び、その際用いるカリキュラムについて保育施設で調査を行うと共に、小学校で滑らかな移行を目的に設置されているNew Entrance Class(以下、NEC)を訪問した。ニュージーランドでは、小学校へ就学するとNECと呼ばれるクラスに所属する。NECの担当教員は就学前までに、保育施設への訪問や体験訪問での子どもの観察、保育関係者や保護者との意見交換、保育施設で作成されたポートフォリオやラーニング・ストーリーなどの保育記録の閲覧を通して、子どもが抱く興味や関心事、文化背景、発達段階を把握することが求められる。また就学後6週間が経った頃には関係者が集まり、子どもの小学校での生活状況や解決していくべき課題などが改めて話し合われることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所属先の変更の変更に伴い、調査対象地域、特に秋田県での調査回数が当初の予定よりも少なくなっているものの、複数の連絡ツールを通して情報の共有を行っていることで、当初の予定通り研究が進められていると判断したため。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は最終年度のため、これまで得られた情報の総括として論文の執筆を進めると共に、新たな情報に関しては学会などで発信していく予定である。
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Causes of Carryover |
3月分の出張旅費の支払いが4月となり、現データに反映されていないため。残額については、論文執筆の際に必要となる文房具を購入予定である。
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Research Products
(2 results)