2018 Fiscal Year Annual Research Report
Citizenship education and the function of exclusion in the historical Context: Focusing on early 20th century America
Project/Area Number |
16K17372
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
斉藤 仁一朗 東海大学, 課程資格教育センター, 講師 (80756031)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 専門家主義 / 教師の主体性 / 総合と教科 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究成果としては主に4点を挙げることができる。 第一点目は、20世紀前半の代表的なカリキュラム論者であるハロルド・ラッグに注目することで、20世紀前半のカリキュラム研究における専門家主義のジレンマについて論じることが出来た点である。この論考は、2018年秋に出版された翻訳書『アメリカ人の生活と学校カリキュラム――生活に根差した学校に向けての次のステップ 』の解説として収録されている。ラッグが緻密な理論的なカリキュラム研究を必要と考えた一方で、教師の自主性や主体性も重視していた点や、晩年のラッグが教師の専門性を信頼できずにいた点などをまとめて論じることができた。 第二点目は、バージニア・プランに関する研究発表を、3月開催の東北教育学会において行うことが出来た点である、発表題目は、「ヴァージニア・プランにおける総合領域と教科教育の位置づけに関する考察 ――H.C.キャズウェルの教科教育観との比較を通して――」とした。本発表では、1934年版のバージニアプランにおいて、コアの領域と各教科の領域とが、学習内容や能力目標などを含め、どのように関連づけられていたのかを論じた。 第三に、米国20世紀前半における社会科教育の教科目標に適した測定・評価方法の見直しを行った点である。この調査では、米国の主要な社会科学会誌をレビューし、測定・評価論の方法がどのように移り変わっているのかに焦点を当てて考察を行った。この点に関しては、昨年度に発表した研究成果を加筆修正し、現在投稿を予定している。 第四に、「レリバンス」という概念に焦点を当てて、米国社会科教育史を論じる論考を書くことが出来た点が挙げられる。この論考において、レリバンスとは、教育内容の意義や関連性、切実性などを表す語であり、この言葉の用いられ方が各時代の社会科カリキュラムのあり方を反映したものであることを示すことができた
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