2017 Fiscal Year Research-status Report
教育政策決定過程における市町村議会の役割及び影響力に関する実証研究
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16K17374
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
阿内 春生 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (10608839)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 教育行政学 / 市町村議会 / 教育と政治 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度はこれまでの研究成果のまとめに取り組んだ。市町村における教育政策の政策過程において、最終段階における教育政策の決定を行う市町村議会は、予算案・条例案などの決定を通じて教育政策への実質的な関与を行っている。平成29年度は本研究に関連する研究報告を日本教育制度学会大会(東北大学)において報告した。同報告では震災によって被害を受けた東北地方のある市での実地調査に基づいて、防災教育をめぐる、震災前後の教育政策に関する議会での議論を分析した。この事例研究の結論としては、東日本大震災という甚大な被害を経ても、従来の防災教育が震災の被害軽減に有効に機能した場合、教育政策自体の見直しなどの議論は議会における焦点とはならないことを観察することができた。 教育行政学において教育政策への公選職の関与は、教育の政治的中立性を脅かす可能性があることが指摘されてきたが、本研究で得られたような事例研究を蓄積することで、政策の内容や、政策自体の評価について「市町村議会が関与する場合」「しない場合」の分水嶺となる基準を、ある程度導き出すことができると考えられる。今回の事例では、防災教育の政策に関して甚大な災害によって議会での議論が起こるというよりも、災害時の防災教育の評価自体が関与の有無を区別したと考えることができた。今後、例えば「甚大な災害」を「(学校での)重大事案」に政策を読み替えても同様の結果を導くかなど検証が必要であるが、事例研究の蓄積から普遍的知見を多少なりとも得られるよう今後取り組んで行くこととしたい。なお、本事例に関しての論文としての研究成果は学会報告を部分的に再構成して平成30年6月頃公表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画から事例調査を優先したものに計画をシフトしている部分があるが、事例研究の調査など、これまでの蓄積に基づいて分析を進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は最終年度に当たるため、これまでの事例調査のまとめを行うと共に、8月、9月などを利用して、補足の調査、追加調査に取り組んで行きたい。
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Causes of Carryover |
旅費の使用にあたって計画よりも、支出を節約することができたため。 研究計画の最終年度にあたる本年度に、追加調査やこれまで収集した事例の再分析などを通じて、研究のまとめに使用する。
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