2018 Fiscal Year Annual Research Report
The research how municipal assemblies can influence education policy decision processes.
Project/Area Number |
16K17374
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
阿内 春生 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (10608839)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地方教育行政 / 教育と政治 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は学会などでの報告、論文執筆を中心として、これまでの研究成果のまとめに取り組んだ。2018年5月に日本行政学会において、これまでの研究の振り返りと、資料収集の成果を含めて研究報告を行った。従来の市町村の教育政策に関連する研究においては、首長・議会などの政治的な背景を持つアクターの関与は、教育の政治的中立(教育基本法14条、16条など)を阻害するものと理解され関与を排除することに焦点化された議論が行われてきた。報告者はこれまでの事例研究と資料収集の結果から、議会による関与については制度的にそれを防ぐような手段は確保されていないことを指摘した。 1956年に地方教育行政法が制定され、教育委員会による予算案、条例案の提出権がなくなったことにより、教育政策であっても予算案や条例案を必要とするものは、必然的にそれらの議会提出権を持つ首長の支持(少なくとも反対されないこと)が必要となっている。さらに、これらは議会において審議されるため、議会多数派からも反対を受けないことが必要となる。従来、首長の関与について村上(2012)は首長が教育政策について抑制的に対応するという「首長の良識」(村上2012:114)に依存していることを指摘していたが、これは地方議会についても当てはまることを確認することができた。とくに、首長と議会多数派が対立的な関係にある場合に、首長の提案した政策について反対する事例が見られたが、どのような場合に議会が教育政策に(抑制的にではなく)積極的に対応するのかについては、必ずしも明らかということはできず、今後の課題として残された。研究成果は今後の論文等の公刊を通じて、さらに広く公表していきたい。
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Research Products
(3 results)