2016 Fiscal Year Research-status Report
新自由主義改革下における公正な教育の配分ルールと配分システムの構築に関する研究
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16K17376
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
福島 賢二 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (90582164)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 新自由主義(ネオリベラリズム) / 教育 / 配分 / 公正 / 条件整備 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、新自由主義(ネオリベラリズム)下における公正な教育の配分ルールと配分システムを構築することにある。目的を達成するための課題は3点あるが、平成28年度はそのうちの1点目である新自由主義改革における国家による教育資源の配分のあり方を公正という観点から分析することにある。 平成28年度は、新自由主義教育改革における資源配分の公正性に関する研究を政策的視点から行った。具体的には、安倍政権によって進められている教育改革を主導する教育再生実行会議や産業競争力会議等、各審議会の政策提言や議事録を検討してきた。こうした分析検討において、安倍政権における資源配分の特徴と傾向を一定程度つかむことができた。 安倍政権が新保守主義と新自由主義の二つの顔をもちつつ、政策形成と実行を行ってきたことはこれまでの研究でも指摘されてきたことである。また新自由主義の側面から安倍政権の教育改革の特徴を説明するものも先行研究では存在してきた。しかしながら、安倍政権の教育改革における資金の流動性の特徴と傾向までを明らかにする研究はこれまでにもなく、その点で本研究成果は一定の意義をもつと考えられる。 他方で、平成29年度から作業を開始する、教育における公正な配分ルールと配分システムの構築に関する研究の先行研究に関わる情報収集の作業を平成28年度の後半から同時並行で行ってきた。こちらについては英米圏の政治哲学の学問的進行が早く、まだまだ情報が足りない状況にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は新自由主義教育改革における資源配分の特徴と傾向を政策的視点から明らかにすることを目標としていた。その点でいえば、安倍教育改革を主導する教育再生実行会議や産業競争力会議等各審議会の政策提言や議事録などを検討することで安倍政権における資源配分の特徴と傾向を一定程度つかむことができたからである。 教育における公正な配分ルールと配分システムの構築に関する研究の先行研究に関わる情報収集の作業については、平成29年度から本格実施するための予備的作業であり、この作業が完結することは当初より計画していないことであるとともに、予備的作業のレベルでの作業は達成できたと考えているからである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に行ってきた新自由主義教育改革における資源配分の公正性に関する研究をより体系化するために、教育改革以外の構造改革を分析検討することで、安倍政権の構造改革が全体として「新自由主義(ネオリベラリズム)」的発想によるものであるのかを確定する作業を行っていく。そのうえで安倍政権における資源配分の偏在性についての特徴を浮かび上がらせる作業を行う。こうした成果を年度内に学会等で発表していく。 平成29年度より教育における公正な配分ルールと配分システムの構築に関する研究を理論的・実証的に進めるうえで、理論面では英米圏の正義論をめぐる議論の状況を確認・検討していく。実証面では公立学校のみならず自主夜間中学やフリースクールなども視野に入れながら、教育における「公正」という概念について検討していく。
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Causes of Carryover |
備品や旅費以外に、研究を遂行するうえで必要な文献及び消耗品の購入を行ってきたが、消費税等でどうしても端数がでるため、0円にすることができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は計画通り執行できるように努力する。
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