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2016 Fiscal Year Research-status Report

現代アメリカにおける学校改革理論の展開―D. ショーンとその周辺―

Research Project

Project/Area Number 16K17377
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

鈴木 悠太  東京大学, 海洋アライアンス, 特任講師 (20725246)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords学校改革 / 活動の理論 / 学校改革研究 / ドナルド・ショーン / アネンバーグ・チャレンジ / 教育政策 / 教師教育 / 教育実践
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、1990年代半ばに全米規模の学校改革を展開したアネンバーグ・チャレンジの拠点横断的な評価研究を構想した、ドナルド・ショーン率いる「都市・学校研究グループ(Cities and Schools Research Group、CSRGと略記)」における〈学校改革の「活動の理論(theory of action)」〉の展開を明らかにすることを目的とした。
平成28(2016)年度の研究課題は、以下の2点を中心とする理論的考察を行うことであった。
第一は、〈研究上の師弟関係を踏まえた2系統の理論の統合と葛藤〉であった。それは、CSRGにおける理論形成に対し、CSRGを率いたショーンによる理論的な貢献が大なることに留まらず、それまでに学校改革研究を蓄積してきたマクドナルド及びミルブリィ・マクロフリンの貢献を見逃さないことである。すなわち、CSRGの理論形成には、〈ショーン〉及び〈マクロフリンとマクドナルドを通じたコーエン〉という2系統の理論的支柱を想定し考察を行った。
第二は、ショーンとマクドナルドの1998年の共著『アネンバーグ・チャレンジの活動の理論』を、CSRGの成果の第一の到達点として位置づけることであった。具体的には、同書において2種類のジレンマが主題化されていることに注目した。すなわち、「学校改革をデザインするジレンマ」と「学校改革を評価するジレンマ」の2つである。この主題化への注目は、まず、学校改革のデザインと評価のためのメタ理論である〈学校改革の「活動の理論」〉の解明を導いた。さらに、この2種類のジレンマの同定は、〈学校改革の「活動の理論」〉の第一の到達点へと向かう展開上の急所を見出すに相応しく、また、第Ⅱ期以降の改革における実際上の困難の在り処を示唆した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

まず、文献調査を主とする理論研究の進展が概ね順調である。また、主要な文献の収集と検討に関して目処が立っている。
理論的な進展として例えば、1980年代に着手された一群の高校改革研究が、「エッセンシャル・スクール連盟(Coalition of Essential Schools)」の展開を実践面に留まらず、理論上の準備段階を形成していたことである。この理論的展開が90年代以降の学校改革の背景を成している。
次に、渡米調査により本研究を進展させるための新たな視野を獲得することができた。例えば、それは、アネンバーグ・チャレンジの機関紙の役割を担ったアーカイブの発掘であり、現在の高校改革の先端を形成する拠点校及びそのネットワーキングへの接近である。すなわち史的検討の前進と現代的意義の理解という新たな視野の獲得である。平成29年度における継続的かつ集約的な訪米調査により、その視野の精度を上げることを目指している。

Strategy for Future Research Activity

平成29年度(2年目)は、本研究が設定する時期区分の第Ⅱ期(1999~2002年)における次の2つの課題の解明に取り組む。
第Ⅱ期において注目されるのは、CSRGの挫折である。特に、アネンバーグ・チャレンジの学校改革それ自体の展開が軌道に乗り、2002年前後には、アネンバーグ・チャレンジの助成金の最大の出資元であるアネンバーグ財団(Annenberg Foundation)やブラウン大学アネンバーグ学校改革研究所などから次々と改革の最終報告書が公刊されるに至る中(さらにはサンフランシスコ湾岸地区のBASRCの学校改革がプロジェクトの5年間の更新が受理される中)、CSRGによる評価研究の挫折は特異であると言ってよい。CSRGを率いたショーンを失ったことは事実としてその影響は大きかったとはいえ、成員間のポリティクス、出資元をはじめとする対外的な関係におけるポリティクスを解明する必要がある。すなわち、第一の課題は、〈CSRG内の成員間のポリティクス〉であり、第二の課題は、〈CSRGと外部とのポリティクスの解明〉である。
もちろん、この着眼は、本研究の目的に即し、あくまでも〈学校改革の「活動の理論」〉の展開を解明する限りにおいて、CSRGの内外のポリティクスに迫るものである。ショーンとマクドナルドの1998年の共著『アネンバーグ・チャレンジの活動の理論』において宣言されていた続編の公刊が2014年にまで遅れたことの理由に対し、〈学校改革の「活動の理論」〉の展開という主題の限りにおいて接近すること、それが平成29年度(2年目)の課題である。これは、文献調査では限界のある理論の展開の陰影をつけるための作業となる。調査方法として、複数の関係者へのインタビュー調査や必要に応じてフィールドワークを含む集約的な調査の実行を計画する。

Causes of Carryover

購入予定の対象としていた一群の関連書籍の事前の検討に、より一層の時間を費やす判断を行ったため、次年度使用額が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

この検討作業自体は本研究の前進に資しているが、平成29(2017)年度の早期において検討を終えた書籍の購入を進めることを計画している。

  • Research Products

    (1 results)

All 2016

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 教師の「専門家共同体(professional community)」における実践と政策2016

    • Author(s)
      鈴木悠太
    • Organizer
      日本教育学会
    • Place of Presentation
      北海道大学(北海道・札幌市)
    • Year and Date
      2016-08-24

URL: 

Published: 2018-01-16  

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