2018 Fiscal Year Annual Research Report
American Theory of School Reform: Donald Schon and around
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16K17377
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 悠太 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (20725246)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 学校改革 / 活動の理論 / 学校改革研究 / ドナルド・ショーン / アネンバーグ・チャレンジ / 教育政策 / 教師教育 / 教育実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、第Ⅲ期と第Ⅳ期における着眼点⑤に関する考察、及び、これまでの総合的な考察を行うことを研究課題とした。第Ⅲ期は2003~2009年まで、第Ⅳ期は2010~2014年までと設定した。すなわち、第Ⅲ期は、2009年の民主党オバマ政権下の「頂点への競争(Race to the Top)」の制定まで、第Ⅳ期は、2014年のマクドナルドとCSRGの手になる『アメリカの学校改革』の公刊までとした。 着眼点⑤は、〈学校改革の「活動の理論」〉の〈第二の到達点としての『アメリカの学校改革』〉であった。同書の特徴は、ニューヨーク、フィラデルフィア、シカゴ、サンフランシスコ湾岸地区の4拠点の改革の展開を跡づけていること、そして、その考察に際し、マクドナルドによって新たに「活動空間の理論(theory of action space)」が導入されていることにあった。 まず、シカゴの前景化で注目されたのは、着眼点①〈研究上の師弟関係を踏まえた2系統の理論の統合と葛藤〉と関わり、その評価研究の中心的な担い手がシカゴ大学のアンソニー・ブライクであることであった。ブライクはマクロフリンらと同門であり、ここにも、ショーンとコーエンの2系統の理論の系譜の主題が浮上した。 着眼点⑤に関して注目されるのは、「活動の理論」から「活動空間の理論」への展開であった。「活動空間の理論」の要諦は、「専門家の能力」「市民の能力」「資金」を各頂点とする三角形を「活動空間」とし、その伸縮する空間において学校改革の「論議(argument)」(改革を進める論議と改革を止める論議の双方を含む)の展開を把握することにあった。すなわち「活動空間の理論」は学校改革の当事者や利害関係者における改革の言説研究を強調し、それを空間的に把握する理論である。そして、この⑤の考察とこれまでの研究成果の総合的な考察を行った。
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