2017 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児期から児童期への園・学校における食経験の移行とその支援に関する調査
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16K17378
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
淀川 裕美 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特任講師 (60773158)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 園での食事 / 幼児の認識 / 描画分析 / 保育者の認識 / 子どもの主体性 / 保育所 / 幼稚園 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に実施した園での食事に関する先行研究レビュー及びテキスト分析による知見をふまえ、東京都内の私立保育所2園、私立幼稚園1園での5歳児クラスを対象とした1)食事場面の観察、2)園児の描画調査、3)描画をふまえた園児へのインタビュー、4)担任保育者へのインタビュー、5)保護者アンケート、6)栄養士・調理師アンケートを実施した。1から4は6~7月と1~3月の2回、5と6は卒園前の1回実施した。そのうち、主に2、3、4に関する分析・発表を行った。 これらの分析から、5歳児の園での食事場面に関する描画の内容は、①食事の詳しい内容、②食事空間の全体、③食事の段取り、④一緒に食べる友達であった。給食の園で、園児がどのくらい食べるか主体的に判断している園では、ほぼ全員が主食・主菜・副菜・汁物をバランス良く描き、食事の内容をよく認識していた。また、食事の準備から片付けを園児が主体的に行う園では、食事の段取りもよく認識し描画していた。さらに、同じクラスの園児と保育室で食事を取る園では、一緒に食べる友達を多く描いていた。食事への関心が低い園児は描画の内容が乏しく、援助の検討が必要であることが示唆された。 保育者のインタビューと合わせると、描画に表れる園児の食事への関心の高低や得手不得手感は、保育者のインタビュー内容とほぼ重なっていた。一方で、保育者は園児の描画内容を見ることで、園児が食事場面に関連して何を認識し、誰を意識して描画に含めるかといった観点から、日頃の保育では見えていなかった部分に気付いたり、園児の成長への手ごたえを得たりしたことが、語りの中で見られた。 今後、上記の分析を進めるとともに、食事を作る側である保護者や栄養士・調理師の配慮や工夫、悩みを分析し、保育所や幼稚園における食事の経験について考察を深めたい。また、平成30年度には、小学校での継続調査を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度実施予定であった5歳児クラスにおける観察調査、園児の描画及びインタビュー調査、保育者調査のすべてを追え分析が進んでいることに加え、予定にはなかった保護者調査、栄養士・調理師調査も行うことができた。また、分析を通じて一定の知見を得ることができ、学術誌(保育学研究:査読あり)への投稿も採択された。よって、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は最終年度となるため、これまでに実施した調査等の結果を発表・投稿していくとともに、縦断調査として、小学校での継続調査(児童の描画及びインタビュー調査、担任教師へのインタビュー、保護者への質問紙調査、栄養士・調理師への質問紙調査)も実施予定である。そして、園から小学校における食経験の移行について、食事の主体である園児、食事の援助者(共食者)である保育者及び教師、食事の作り手である保護者及び栄養士・調理師それぞれの認識から、食経験の移行の実態を明らかにするとともに、必要とされている配慮等についても整理し提言していきたい。
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Causes of Carryover |
年度末に残額119円分の買い物をする時間を確保できなかったため。
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Research Products
(3 results)