2016 Fiscal Year Research-status Report
生涯学習・社会参加を促す効率的・創発的なプラットフォーム形成に関する実証研究
Project/Area Number |
16K17379
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荻野 亮吾 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 特任助教 (50609948)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 生涯学習 / 社会参加 / プラットフォーム / 官民連携 / 社会関係資本 / 創発性 / 地域自治組織 / ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域の学習資源を集約し、効率的・創発的に生涯学習・社会参加を促す学習環境をプラットフォームと見なし、その形成過程や機能、波及効果等を可視化することを目的とする。具体的には、(1)各領域の先行研究・先進事例の検討と、(2)国内の代表的事例の事例研究・比較研究、(3)プラットフォーム形成に必要な要素を実際のフィールドで精査する介入研究を実施し、(4)プラットフォーム構築に関するモデルを提示する。 2016年度は、行政学や経営学、社会学、都市工学等の領域の先行研究を参照し、プラットフォームの構成要素や機能、評価方法について整理を行った。この成果として、効率性や創発性、持続性というプラットフォーム構築の効果や、官民連携を進める効果的な方法について検討を行うことができた。また複数の事例を比較する際の、比較事例研究の方法についても論文を執筆した。 次に、プラットフォームの形成過程や機能、波及効果等を明らかにする事例研究に着手した。まず、プラットフォームの1つの類型として、地域自治組織の中に公民館を組み込んだ長野県飯田市の事例研究を行った。この研究では、地域自治組織という包括的な組織の導入により、効率性・創発性・持続性がどのように向上するのかについて、市内3地区の比較研究を進めた。なお本研究については、他の科学研究費補助金(課題番号:16H03008)による研究とも連携して調査を行った。並行して、プラットフォームの異なる類型として、学校支援をテーマに地域の諸機関・団体の再編を進める大分県佐伯市の事例研究を行った。この研究は2008年度より継続しているもので、プラットフォーム形成による10年間の地域社会の変化を示すことが目標である。 この2つの事例に関しては、将来的に比較を行うことを射程に入れ、過去数年来の調査結果に基づき、体系化・焦点化したインタビュー調査を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度は、初年度に達成すべき目標として掲げた、行政学や経営学、社会学、都市工学等の関連領域におけるプラットフォームに関する先行研究の検討を行った。研究の結果、プラットフォームの構成要素や、効率性・創発性・持続性といった機能、評価方法について理類化を図ることができた。この点において、当初の計画通りの進捗を見せた。 長野県飯田市の事例研究については、他の科学研究費補助金による研究とも連携し共同して調査を行うことで、教育学だけでなく、行財政学、環境政策等、複数の観点から事例研究を行うことが可能となった。この研究成果については、2017年度に、雑誌論文の執筆や学会の企画シンポジウムの場で公表することが決定しており、当初の想定以上に研究が進展したものと考えられる。一方、大分県佐伯市の事例研究については、過去の調査データの整理が中心であり、2017年度以降、さらなる取り組みが必要なものと考えられる。なお、2つの事例研究については、過去数年来の調査結果の知見を活かして、調査を実施したため、短期間であるものの効率的に調査を実施できた。 以上の研究の進捗状況を鑑みると、本研究はおおむね順調に進展しているものと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、本年度の研究の延長線上に立ってさらなる進展を図る方針である。 まず理論研究については、初年度の研究成果に関して学会発表や論文投稿等を行い、積極的にその成果を公表していく予定である。次に事例研究に関しては、それぞれの事例でプラットフォームを構成・維持していく要素を明らかにし、事例の比較を通じて理論化を進める予定である。対象とする事例について、2016年度は公民館等の社会教育機関が中心となって構築されたプラットフォームの事例を対象としていたが、2017年度は企業のCSVの取り組みや、NPO法人や協同組合が各地域で他のアクターと連携して進める取り組みについても取り上げる。各事例において、官民連携の体制づくりが地域社会の市民社会組織の関係にどのような影響を及ぼし、どのようなタイプのプラットフォームが構築され、地域社会にいかなる波及効果を及ぼすのか、この一連の過程を明らかにする。 さらに、事例研究で明らかになったプラットフォームの構成要素について、介入研究によってその妥当性を検証する。介入研究を行うにあたっては、千葉県柏市等、複数のフィールドで所属組織の教員・院生と共同して主要アクターとの関係づくりを進めている。2017年度は、この基盤のもとに介入研究を進め、研究成果を公表する予定である。
|
Causes of Carryover |
2016年度は、理論研究と事例研究を研究の中心に設定し、物品費40万円、旅費60万円、人件費・謝金15万円、その他5万円という内訳で予算計上を行った。実際の研究においては、これまでの調査結果をもとに効率的に事例研究を行ったことによって、旅費や人件費・謝金については当初予定より支出を抑えられることとなった。一方、理論研究については、行政学や経営学、社会学等の関連領域に関する幅広い文献検討を行ったため、想定額を上回るものになった。全体として、旅費や人件費・謝金の抑制分、次年度に繰り越し額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度は、2016年度に得られた研究成果の自治体へのフィードバックや、研究成果の学会等での公表を予定している。加えて新たな事例研究や介入研究にも着手するため、旅費が60万円程度になると想定している。また、事例研究や介入研究に関する資料整理やインタビューデータの筆耕等の謝金について、20万円程度を予定している。これと別に、地域で介入研究を実施する費用として、15万円を計上する。理論研究については、包括的なレビューを行うために必要となる書籍・論文の追加購入を予定しており、物品費は30万円程度になるものと見込まれる。これらの諸経費を合わせて、125万円程度の使用額を想定する。
|
Research Products
(13 results)
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Practice for supporting the decision-making of the persons with dementia: A field study of “Dementia cafe”2016
Author(s)
Nobutada Yokouchi, Fumika Horinuki, Hiroko Okada, Yuka Sumikawa, Makoto Suto, Chie Fukui, Ryogo Ogino, Park Hyosook, Mahiro Fujisaki, Satoko Nagata, Norio Higuchi, Jun Goto
Organizer
The 3rd International Alliance of Research Universities Aging, Longevity and Health Initiative Graduate Student Conference 2016
Place of Presentation
The University of Tokyo, Tokyo, Japan
Year and Date
2016-11-04
Int'l Joint Research
-
[Presentation] Development of programs and facilitation techniques to build a community of healthy elderly2016
Author(s)
Kazuki Kaneko, Takayuki Hamada, Shingo Yoshida, Satomi Kikuoka, Jang Hyewon, Mio Doke, Makoto Suto, Yaka Matsuda, Yukitsugu Komazawa, Takashi Miyabe, Aya Fujiwara, Unyaporn Suthutvoravut, Rogie Royce Carandang, Masayuki Anekawa, Yoshifumi Kurata, Ryogo Ogino, Mari Kimata, Takahiro Miura, Jun Goto.
Organizer
The 3rd International Alliance of Research Universities Aging, Longevity and Health Initiative Graduate Student Conference 2016
Place of Presentation
The University of Tokyo, Tokyo, Japan
Year and Date
2016-11-04
Int'l Joint Research
-
-
-
-
-