2017 Fiscal Year Research-status Report
日本における「教師教育者」観と教師教育者が教育の倫理に果たす役割に関する研究
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16K17381
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Research Institution | Tsuru University |
Principal Investigator |
山辺 恵理子 都留文科大学, 文学部, 講師 (60612322)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 教師教育 / 教育の倫理 / ケースメソッド / 哲学対話 |
Outline of Annual Research Achievements |
国内の教師教育の議論の中で長く抜け落ちてきた「教師教育者(teacher educator)」の専門性に関する研究の中でも、さらに語られることが少ない「教育の倫理」に関する教師教育者の役割について取り上げて、国際的な議論と国内の議論との比較研究を行う本研究プロジェクトの2年度目に当たる平成29年度は、以下の2つ教育方法に注目して研究を行った。 ①「ケースメソッド」を通した教師教育に関する哲学的考察 ②「Philosophy for Children(P4C)」の学校および教員養成課程における実践の意義に関する考察 ①のケースメソッドは、ビジネススクールやロースクールなどの専門職大学院でよく実践される教育方法である。しかし、教育現場においても「ただ一つの正解というものがないけれども、最善と思われる答えを早急に導き出さなければならない問い」は溢れており、それらの教育哲学的なジレンマを疑似体験しながら考察する経験を学生や教師にもってもらうためには、教師教育においてもこの教育方法を活用することが重要なのではないか、という仮説のもと、ケースの開発等を行った。 ②のP4Cは、まさに哲学や倫理を専門とする教師教育者らが確立してきた実践であり、ハワイ大学においては教員養成カリキュラムの中に盛り込まれている。教師の役割を「教える者」から「問う者」、さらには「問いを味わう者」への転換させながら、教師と児童生徒、大人と子どもがフラットな関係で知を構築しようとするこの教育方法を取り入れたハワイ大学における子どもと教師の学びの支援の取り組みに注目して、研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本務校が変わり、開設したばかりの学科の運営業務の負担が重くなりすぎたため、予定通りに研究を進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28・29年度と、続いて国内ヒアリング調査に大幅な遅れが生じた。そのため、平成30年度はグループ・インタビューなど、多くの声を聞ける方法を検討しながら、ヒアリングを実施する。 さらに、平成29年度に研究を進めたケースメソッドおよびP4Cの研究を続けながら、これらの教育方法を教師教育に盛り込む意義と、それらを担う教師教育者の役割について考察する。
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Causes of Carryover |
平成29年度に本務校が変わり、新設の学科の運営業務の負担が重くなりすぎたため、予定していた出張が国内・海外ともにほとんど実施できなかった。 このことを受けて、平成30年度には教師教育者の指導力向上のために開発されたワークショップを受講するためにオランダ出張を行うほか、国内の教師教育者向けの研究報告会を開催することで、予算を使用する予定。
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Research Products
(4 results)