2017 Fiscal Year Research-status Report
現代イギリスの「自己改善型学校システム」の学校へのインパクトに関する調査研究
Project/Area Number |
16K17382
|
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
末松 裕基 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (10451692)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 自己改善型学校システム / ティーチング・スクール / 学校間連携 / システム・リーダーシップ / スクールリーダーシップ / 学校経営 / イギリス |
Outline of Annual Research Achievements |
「自己改善型学校システム」の展開と課題を考察した。具体的には、2010年以降の「自己改善型学校システム」における学校間連携について、教員及び校長の研修・力量形成を先導し、他校支援の役割を優秀校に与える「ティーチング・スクール(teaching school: TS)」制度の考察を行った。TSは地域や各テーマに基づいて複数校で学校群を形成し、他校支援のほか、学校群が独自の研修の開発・提供を行うことで、教員とリーダーの資格・養成について、国家主導から現場主導への移行が意図されている。2011年に100校がTSに認定され、2015年までに500の学校連盟が予定されており、学校査察で、最高評価を受けた学校のうち、過去3年にわたって5校と協働した実績がTSの認定には求められ、副校長レベルの担当者が「学校群研修ファシリテーター」となっている。学校間の協同学習が重視されるほか、TSは学校群のニーズや課題に応じて研修プログラムを独自に開発・実施し、学校群内の相互支援により各校の組織力向上を図ることが期待されていた。 一方、国(NCSL:その後、NCTLに改組-National College for Teaching & Leadership)は全国枠組みを示し、研修運営の支援を担当するほか、TS及びファシリテーターの認証・研修・支援を担うようになり、学校とNCTLの関係も大きく変化してきた。国家主導の見直しによるこれら学校主導型の組織力向上方策の導入の背景と施策について、政府文書、NCTL刊行物を分析した。また、同システム導入に大きな影響を与えたデヴィッド・ハーグリーヴス(David H. Hargreaves)の理論の検討も行った。また、学校、地方当局、校長会、教員組合の反応も各文書・資料をもとに検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度には、学校単位の組織力向上方策の意義と課題の考察のため、1988年以降に展開されてきた個別学校に予算・人事権を委譲し、自律性の発揮を期待する「学校のローカルマネジメント(Local Management of Schools: LMS)」の展開と課題に着目した。そこから、学校単位に焦点を当てた組織力向上方策の意義と課題を明確にしたが、それら、従来のLMSの課題を踏まえて2010年以降に展開された「自己改善型学校システム」について、その理論的背景、施策、学校、地方当局、各専門職団体の反応を分析し、課題を考察することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、第一に、学校間連携による組織力向上方策の事例研究について、学校間連携に取り組む学校群に着目し、取り組みのテーマやタイプ、地方当局と国の支援のあり方にも注目して、組織力向上の具体的な展開と課題を考察する。そして、総合考察として、学校単位の組織力向上方策と学校間連携による組織力向上方策の差異に注目して、それら方策の特徴や課題を総合考察する予定である。
|
Causes of Carryover |
人件費に関して、予定額よりも削減できたため、差額が生じたが、これは研究の遂行上、やむを得なかったため、次年度以降、再度改めて必要に応じて人件費として使用予定である。
|
Research Products
(5 results)