2018 Fiscal Year Research-status Report
現代イギリスの「自己改善型学校システム」の学校へのインパクトに関する調査研究
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16K17382
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
末松 裕基 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (10451692)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自己改善型学校システム / ティーチング・スクール / 学校間連携 / システム・リーダーシップ / スクールリーダーシップ / 学校経営 / イギリス |
Outline of Annual Research Achievements |
学校間連携による組織力向上方策の実態を考察した。具体的には、学校間連携に取り組む学校群について、取り組みのテーマやタイプ、地方当局と国の支援のあり方に注目して、組織力向上の具体的な展開と課題を考察した。その際、校長会がどのような認識をしているかを考察し、「自己改善型学校システム」は、学校の自律性を目指しているものの、校長にとっては課題も多いと認識されていることがわかった。とくに、国家の戦略的な役割が不十分である点で、同システムには課題が多いと捉えられていることが明らかとなった。また、学校間連携において主要施策となっている、ティーチング・スクール(TS)制度が開始後間もないこともあり、イギリスにおいてもその評価が難しいと判断されていることも明らかとなった。 TSの認定校は、初年度に6万ポンド(約1,000万円)を得られることから、認定基準だけでなく、予算を通じた、国やNCTLの関与や規制が強くなってきたのも事実であり、認定を得られない学校の増加や一層の競争的な環境が生じており、地域・学校格差などが課題となっていることも明らかとなった。学校間連携による組織力向上については、ロンドンなどでは取り組みが比較的進んでいるものの、リバプール、マンチェスターなどでは、TS数が一部伸び悩んでおり、TS及び同じ学校群で活動する各校における研修や、学校間支援及び実践共有システムについて、国及び地方当局との関係も含めて、今後も資料収集、参与観察、関係者へのインタビューを行う必要性が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度には、「自己改善型学校システム」の展開と課題を考察し、具体的には、2010年以降の「自己改善型学校システム」における学校間連携について、教員及び校長の研修・力量形成を先導し、他校支援の役割を優秀校に与える「ティーチング・スクール(teaching school: TS)」制度の考察を行った。それらの成果を踏まえて、平成30年度は、学校間連携による組織力向上方策の実態に特に注目して考察を行い、具体的には、学校間連携に取り組む学校群について、取り組みのテーマやタイプ、地方当局と国の支援のあり方に注目して、組織力向上の具体的な展開と課題を考察し、おおむね計画が順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、組織力向上方策の総合考察として、学校単位と学校間連携による方策の差異に特に注目して考察を進める。具体的には、初年度より得られた研究成果をもとに、「学校単位の組織力向上方策」と「学校間連携による組織力向上方策」の差異に注目して、それら方策の特徴や課題を総合考察し、国や行政の役割や支援体制のあり方の変化も含めて、従来の教育施策から、「自己改善型学校システム」への移行にともなう、学校へのインパクトを検証する予定である。
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Research Products
(3 results)