2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K17384
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
田中 誠二 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 講師 (60561553)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 戦後復興期 / 占領期 / 衛生教育 / GHQ/SCAP |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,占領期において「衛生教育」がいかに議論され立案・実施されたのか,GHQ/SCAP(連合国最高司令官総司令部)と日本側の交渉過程に着目して検討することを課題とした.GHQ/SCAPの公衆衛生福祉局(Public Health and Welfare Section;以下PHW)の記録文書を対象に衛生教育関連の史料を探索・収集し,そのうち“Public Health Education”というフォルダータイトルが付された史料群(#1 (1946-48)~#4 (1951))を詳細に分析した.この史料群は,占領期のほぼ全期間における衛生教育の活動内容を縦断的に検証することができる重要な記録と思われる. 1.上記史料(マイクロフィッシュ)に記録されている計228件の文書の表題をリスト化した.そのうえで,衛生教育に関する文書の具体的内容とその推移を時系列に把握した. 2.1の作業から,“Public Health Train”(公衆衛生列車展覧会)/“Educational Movie”(教育映画)/“Health Booklet”(健康ブックレット)/“Insect Borne Disease”(昆虫媒介感染症)/“Radio Program”(ラジオ番組)/“School Health Program”(学校保健プログラム) など複数のキーワードが抽出された.また,衛生教育の中心的課題が時期によって移り変わる様子を確認することができた. 3. 1948(昭23)年春,厚生省内に“Information Unit”と呼ばれる新たな組織が(占領軍側の働きかけによって)設立され,占領中期以降の衛生教育の展開に重要な役割を担ったことが明らかとなった.しかし,その設立にあたっては厚生省内から反発の声があがるなど様ざまな議論があったことを確認した.詳細は今後の課題とする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画されていた研究内容については,おおむね順調に進行している.とくに,GHQ/SCAP文書の探索・収集作業においては,杉田によって整備されてきたPHW文書のデータベースなどを活用することで効率的に進めることができた.また,記述内容の分析にあたっては,「厚生省五十年史」(1988年)など日本側資料との突き合わせによる検討が進行している.一方,分析対象としたGHQ/SCAP文書が計228件と多数であることから,記述の詳細な読解は第2年度においても継続的に進める必要がある. 以上のように,占領期における衛生教育の基盤形成についてGHQ/SCAP文書(一次資料)を軸とした検討が着実に進展しているが,その反面,戦前・戦中の衛生教育の状況を把握する史資料調査がやや不十分であった.衛生教育に関する「断絶」と「連続」の諸相を明確に把握する必要があることから次年度以降の継続課題とする.
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Strategy for Future Research Activity |
すでに記した初年度からの継続課題をさらに前進させるとともに,第2年度は戦後復興期の衛生教育が具体的にどのような方法・手段によって展開されたのかを検討する.とくに,この時期の重要な健康課題であった「感染症対策」や「母子保健」,「栄養改善」などを対象に史資料の探索・収集作業を行い,衛生教育活動の具体的展開について重点的に研究する.また,そうした活動が,GHQ/SCAPによる占領政策のなかでどのように位置づけられたのか,(初年度に整理した表題リストなどを活用しながら)詳細に検討する.
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Causes of Carryover |
研究成果発表のための学会参加が当初の予定回数よりも少なくなったため次年度への繰り越しが生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
第2年度の研究を進めるために必要となる図書(古書含む)の購入費用に充て,計画的に使用する.
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Research Products
(3 results)