2022 Fiscal Year Annual Research Report
An ideological study of scientific practices around children and the generation of <educational>
Project/Area Number |
16K17390
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤田 雄飛 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (90580738)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 科学的実践 / 日常的な教育実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、科学による教育学への学問的影響という従来の図式からでは見落とされてきた、人々の日常的な実践の領域を含めた広義の科学的知のあり方を検討することを目的として取り組まれた。特に、子どもを巡る科学的実践の一事例として乳幼児の授乳を巡る科学的なネットワークの広がりを見ていくことで、科学的な発見を越えて取り組まれていく日常的な実践までを真理の生成する場として考える必要があることを提起した。 これまでは科学的実践とは見なされることの無かった日常的実践までを含む科学のあり方は、例えば素朴な行為に見えるような実践的な知を具体の科学として考える可能性を有するものであり、科学の概念を拡張するものと言える。こうした点においては、子どもたちが自らの置かれた環境のなかで身体的に振る舞うということにおいても、知との断絶よりも知との連続のなかで、さらには知のあり方の別なるかたちとして捉える視点が可能になると思われる。その成果として最終年度に身体と教養に関する英語論文(英語論集に所収)を執筆している。 また、本研究はコロナ禍における社会状況の変化から、研究の方向転換を余儀なくされた。科学的実践に関する史資料に基づく研究から思想研究へと変更するなかで、あらためて教育が生起する場・環境についての理論研究の必要性が認識された点は本研究全体にとっても重要な収穫となった。 具体には、フーコーの『監獄の誕生』の再読解に関する研究成果とともに、最終年度には教育実践の場としての学校についての空間論を再度検討することが課題として上がった。基礎的な研究として、「ヘテロトピア」概念を取り扱うことで、教育空間の可能性について考えることが可能になった。最終年度には教育空間のなかで文化的な多様性・ハイブリッドが生じる状況を調査するためにフランスにて多国籍児童クラスにおける実践を確認することが出来た。
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