2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K17395
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Research Institution | Kanto Gakuen University |
Principal Investigator |
石崎 ちひろ (吉田ちひろ) 関東学園大学, 経済学部, 講師 (60756477)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 学校経営 / 女性管理職 / 組織特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、女性管理職育成のための学校組織特性を明らかにすることにある。 これまでの研究においては、女性が学校管理職を志向する際、直属の校長の勧誘があること、また前提として、家庭と仕事の両立が女性教員の教職継続を危うくしているので、昇進システムの改善やアファーマティブアクションの必要性が訴えられてきた。しかしながら本研究では、女性教員が自らの志向や家庭環境のみで管理職を選択するという視点ではなく、勤務校で所属してきた学校組織の影響を受けてキャリア選択をせざるを得ない状況に着目する。 本年度は、第一の課題として、学校組織における人材育成に関する先行研究や女性管理職の育成に関する先行研究を収集、分析を設定していた。分析枠組みの設定にかかわって、日本教育経営学会第56回大会にて、先行研究の検討と、そこから導き出される本研究の方向性、そして質的データを用いて、女性が管理職に就く際に障壁となるものについて、仮説的な案を提示した。その際、校長職や学校組織について研究を進めている研究者から助言を得ることができた。 課題の第二として、予備調査を行うことを挙げていた。調査は、当初予定していた管理職候補者への調査から変更し、関東地方の小学校1校で、校長の紹介を受けた18名の女性教員に、管理職志望の有無、学校組織に関するインタビューを実施した。このインタビューを分析し、次年度行う予定である調査の質問紙を作成していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先行研究の検討範囲が海外文献などにまで広げられていないため、分析概念がいまだ不十分な点がある。 また、予備調査の結果を鑑みると、女性教員自身に対しての質問の仕方や調査者と被調査者の間の関係性によって、表層的な回答しか得られない場合もあり、この点の改善方法を見出さないと、質問紙調査も表層的なものになってしまうため、検討が必要であると考えているからである。
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Strategy for Future Research Activity |
上記した課題を踏まえて、第一に、海外でなされている先行研究の検討を進める。特に、現段階ではMarianne Coleman, Women As Headteachers: Striking the Balance,2003, Trentham Books Ltd を入手し、検討を進めている。本書は、英国で女性校長に対してリーダーシップや家庭との両立についての質問紙を作成し、調査したものであり、本研究に大きな示唆を与える文献である。他のColeman氏の分煙やその他の文献も検討して調査の基盤を作る。 また、上記と関連して研究課題に適した調査方法を検討し、もう一度予備調査をしたのちに、質問紙調査に入っていくこととしたい。
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Causes of Carryover |
第一に、校務や天候の関係により、学会または調査に向かう日程が制限されることがあり、出張することができなかったことが影響している。 第二に、先の研究の進捗状況でも述べたように、先行研究、特に海外文献の検討が十分に進められなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、先行研究、とりわけ海外文献の収集に力を入れていき、分析を進めることで使用を進める。また、本調査できる自治体を選定しながら、女性校長に対する質的調査も検討している。この計画を遂行することによって、予算を使用していきたいと考える。
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