2018 Fiscal Year Research-status Report
保健室における養護実践の変遷とその諸相-創造的実践から画一的実践へ-
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16K17396
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
竹下 智美 淑徳大学, 総合福祉学部, 講師 (90735193)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 保健室 / 養護実践 / 養護教諭 / 昭和前期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1930年代から1960年代の保健室における養護実践の諸相を明らかにすることを目的としている。今年度は、その第一の目的である学校看護婦から養護訓導、そして戦後の養護教諭誕生に至って展開された「子どもと向き合い創造的に探求された多様な実践」について、戦前の実践史料として、日本最初の学校看護婦と言われる廣瀬ます、葛西タカ、小山静枝など、戦前―戦中に実践記録の分析を行い、その中でもとりわけ相談的実践に焦点をあて、論文執筆を行い淑徳大学総合福祉学部紀要に投稿した(2019年3月掲載)。また「政治化された画一的実践」については、国立教育政策研究所教育図書館、東京大学附属医学部図書館、筑波大学附属体芸図書館、筑波大学大学院体育研究科竹之下休蔵文庫、旧開智学校教育資料室所蔵および、県立図書館および都道府県立公文書館等の史料収集を完了し読解の途中である。 第二の目的である職制運動が展開される中で、時代が「養護教員に求めた職務」と「養護教員が追求した職務」については、まず、各地域の養護教員史についての史料の収集・読解、分析を行い、それについてほぼ完了した。戦後の実践史料は、東京都の「芽の会」、愛知「てのひらの会」を中心的に史料の収集が難航しており、その読解・分析が半数程度にとどまっている。 以上のような戦前・戦中・戦後を通じて、戦後教育改革の中で、曖昧とされる職務の狭間で、自らの仕事(機能)を問い続け、実践のあり方を模索し続けた養護教諭史が明らかになりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
養護教諭サークルへのインタビューおよび史料調査の調整が難航してることと、史料が膨大なため史料をデータ化し、論文としてまとめる作業に時間を要しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果は、12月に東京で開催される日本学校保健学会第66回学術大会において(仮)「戦後の養護教諭免許状制度と養成機関の新設―遅滞した養成と専門性の模索―」および第17回日本教育保健学会(仮)「戦後の養護教諭実践と職制運動―創造的実践から画一的実践へ―」と研究発表を行う。また、都道府県立図書館、各大学附属図書館より収集した学校衛生史料を随時読解し、昭和前期より展開された学校看護婦、養護訓導実践を体系的に整理し、(仮)「養護訓導の誕生と実践構造の変化」と題する論文を日本学校保健学会誌「学校保健研究」に投稿する。
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Causes of Carryover |
関連する文献や学校衛生関係の収集は概ね順調に進んでいるが、養護教諭関係団体の関係者とのアポイントメントの調整がうまくいかず、インタビュー とそれら団体が所有している史料の収集が進んでいないため、一部計画を変更せざるを得なかった。そのため、インタビューを行うための出張旅費とその成果発表となる学会出張旅費を次年度に繰り越すことになった。 (使用計画) 次年度のインタビュー調査および学会発表に使用する計画である。
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