2019 Fiscal Year Annual Research Report
Constructing the Special Education System in general elementary and secondary schools: practices and problems in the U.S. school in 1970-90.
Project/Area Number |
16K17398
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
羽山 裕子 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (20737192)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アメリカ合衆国 / 学習障害 / ミネソタ州 / アイオワ州 / Response to Intervention / Learning Disabilities |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、2000年代以降のアメリカにおいて普及している、学校内での学習障害児支援枠組みの本質を考察するために、その源流に位置づくと考えられる1970~90年代の取り組みを分析していくことにあった。 研究は4か年にわたり実施された。研究の前半においては、1970年代末~80年代前半のミネソタ大学学習障害研究所での研究成果の分析と、1980年代~2000年代初頭のアイオワ州ハートランド地域教育局での教育改革の分析を行った。研究の後半においては、これらと2000年以降の実践との影響関係を解明するべく、2000年代初頭の政策決定に関わるような学術会議における、各々の関係者の参加・発表状況を確認するとともに、1970~90年代に提起されたアセスメントツールや支援提供枠組みと2000年代の実践との特徴比較を行った。 最終年度においては、以上を整理・総括した。その結果、2000年代以降の学習障害児教育実践を導く2000年代初頭の学術的到達点としては、基本となる学習障害観自体は1960~70年代に提唱された初期のものの本質を継承しつつ、その識別に関わる実践的議論のなかで、1970代末~90年代の成果を反映させているということが明らかになった。ただし一方では、1970年代末~90年代の取り組みにおいては、土台となる学習障害観自体の刷新も試みられていることが従来より指摘されており、本研究における分析でもこれは確認された。これらをふまえると、2000年代以降のアメリカにおける新たな学習障害児支援枠組みは、実践面では新規性や効果を期待できる部分はありつつも、理論面では、多少のもつれが生じている可能性があるとの結論を得た。 研究機関異動および新型コロナウィルス流行という予定外の事態により、単年度でみると当初の計画通りに進まなかった部分もあるが、最終成果としては、当初の目的を達成できたと判断した。
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