2016 Fiscal Year Research-status Report
デンマークの生産学校における「従前学習認証」を活用した若者支援に関する研究
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16K17401
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
佐藤 裕紀 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 助教 (60734001)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 比較・国際教育学 / 教育制度論 / デンマーク教育研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、デンマークにおけるドロップアウトした若者の「再チャレンジ支援」や「社会的包摂」を目的とした生産学校における「従前学習認証」の活用を考察することで、ノンフォーマルな学習の社会的認証が、社会的に周縁に置かれた人々の包摂に果たす役割と課題について明らかにすることである。 これを達成するための具体的手続きとして、まず、デンマークにおける生産学校の設立背景、制度的位置づけ、そして土台となる教育思想や特徴、学校数や社会的機能等の変遷について整理検討する。次いで、生産学校における「従前学習認証」の活用の動向を分析し、さらに各生産学校での「従前学習認証」の活用内容を比較分析する。そして、生産学校における「従前学習認証」活用の利点と課題を明らかにした上で、最終的には、ドロップアウトした若者への支援として「従前学習認証」が果たす役割、活用方法について考察を行う計画となっている。 研究の初年度である平成28年度は、第一段階としてデンマークの生産学校の歴史的変遷、制度的位置付け、関連した教育思想、社会的機能について文献研究を中心に行い整理を行った。 また、第二段階に関連した内容として、国立従前学習認証知識センターより、生産学校が関連しているプロジェクトについての情報を得ることができた。そして、コペンハーゲン近郊にある生産学校数校へのメールインタビューと、各校からの資料提供により、各学校における従前学習認証の取り組みに関する資料を収集することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度である平成28年度は、当初の計画どおり文献研究を中心として、デンマークの生産学校についての概要をまとめることに焦点をあて研究を行った。また国立従前学習認証知識センターや複数の生産学校より、従前学習認証の実践に関する資料を得ることができたため、おおむね順調に進展しているといえる。 但し、当初の計画では、1回現地に渡航する予定であったが、文献研究に重点を置いたことと、幸いにもメールによるインタビューや資料の送付で当該の情報を得ることができたため、現地での調査は行わず、翌年度に実施することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、研究計画に基づき、現地を訪問し、各学校にインタビューを実施することにより、利点と課題を分析すること、そしてドロップアウトした若者支援における従前学習認証の活用モデルの考察を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画では、デンマークに渡航し各学校と国立従前学習認証知識センターでの、資料の収集とインタビュー調査を行う予定であった。しかし、幸いにもメールにおいて必要な基礎的資料と情報を得ることができたため、昨年度は渡航を行わなかった。これにより渡航費代を翌年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、8月9月にデンマークで現地調査を実施する計画となっている。初年度の研究成果により、学校、関係機関のインタビュー先を増やす必要性が生じたため、滞在期間の延長、回数の増加で対応する予定である。また、初年度の文献研究により、さらに関連文献を購入する必要も生じたため、研究に必要な文献の購入をする予定であり、これらの費用に充てる予定である。
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