2019 Fiscal Year Annual Research Report
A Empirical Study on the establishment of the functions of the Museum in Modern Japan
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16K17402
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
高田 麻美 帝京科学大学, 教職センター, 助教 (30734545)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 教育博物館 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度の計画は、文部省教育博物館と地域との関係性を解明するとともに、2018年度に未実施だったカナダにおける資料調査を行ない、トロント教育博物館の設立過程を検討することであった。
2019年度は、主に以下の二つについて取り組んだ。 第一は、本研究の重要課題の一つである文部省教育博物館と地域との関係性を考察した。検討にあたり、文部省教育博物館から東京府へ引き継がれた学術講義に注目した。研究の成果として、論文を全国地方教育学会の機関誌『地方教育史研究』に投稿し、査読を経て掲載された。この論文を通じて、学術講義が東京府における現職教育システムを補完していたこと、さらに、東京府における手工科は、学術講義を契機に現職教育が充実していったことを明らかにした。さらに、文部省教育博物館の教育活動は博物館間で引き継がれるのみならず、自治体の教育政策に影響を与えうるものであることを明らかにした。 第二は、オタワのカナダ国立図書館・文書館所蔵において、1850-70年代の教育政策およびトロント教育博物館に関する資料調査を行なった。調査の結果、①当時の教育省長官イガートン・ライアソン(Egerton Ryerson)は、同館を「市民教育」の要と位置づけていたこと、②ライアソンが英国の教育関係者の助言を得ながら、市民の「審美眼」を高める展示資料―特に美術関係の絵画類―を収集していたことが明らかになった。調査の成果は科研報告書にまとめ、刊行した。
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