2017 Fiscal Year Research-status Report
コミュニケーション論に基づく学校英語教育のエスノグラフィー
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16K17415
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
榎本 剛士 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 准教授 (30582192)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エスノグラフィー / コミュニケーション論 / 学校英語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、エスノグラフィーの手法に基づき、「学校」で行われる英語の授業における、生徒の「メタ語用的意識」と「ラーナブル (learnables)」としての英語との関係をコミュニケーション論の観点から解明することである。 平成29年度は、石川県金沢市の中学校に週一回の頻度で通い(4月18日~3月20日、計40回、大学夏季休業期間中は週二回の場合もあり)、データ収集を行った。調査協力者の英語科教諭が級外となったため、特定のクラスに一日張り付くのではなく、複数のクラスの英語授業を訪問し、各授業でデータを収集する形をとった。 具体的に収集したデータには、フィールドノート、授業の録音(ICレコーダー毎回4、5台使用)、スピーキング・テストの録音、授業の画像、授業の映像(ビデオカメラ毎回1台使用)、毎回の授業後に提出される生徒の「自己評価」カードの画像、生徒が提出したプリントの画像、生徒へ行ったアンケート、調査協力者の英語科教諭へ行ったインタビュー、教室・廊下の掲示物の画像、全校集会・学年集会・部活動・学校行事の様子の記録、学校のパンフレット(学校要覧)等が含まれる。 上記の通り、収集したデータは多岐に亘るため、平成29年度は、本格的な分析のための視点・アプローチを練りながら、データを整理することに重点を置いた。可能なアプローチについては、学会や研究会で発表し、特に社会言語学、談話分析、言語教育関連の研究者との意見交換を行った。 調査終了後は、調査協力校の校長、および、調査協力者の英語科教諭に対し、データの扱いに関する説明を口頭・書面にて行い、了承のご署名を頂いた。また、生徒の保護者へは、校長に確認のうえ、調査者の連絡先も明記した文書を配布し、データの扱いに関する方針(個人情報の保護等含む)を周知した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フィールドへのエントリーが遅れたため、全体としては、当初の計画よりもやや遅れている。「研究が当初計画どおりに進まない時の対応」として申請書に記した通り、当初の計画に対して、調査協力者の状況に合わせた修正が必要となったが、平成29年度の一年度を通じ、多種多様なデータを収集できたことで、当初の計画には盛り込まれていなかった研究の方向・可能性も拓けたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
「エスノグラフィーの手法に基づき、『学校』で行われる英語の授業における、生徒の『メタ語用的意識』と『ラーナブル (learnables)』としての英語との関係をコミュニケーション論の観点から解明する」という基本的なアプローチは保持しつつ、一つの授業の多層性に焦点を当てた分析、中~長期間の変化に焦点を当てた分析、両者の統合を目指す分析を、言語人類学のコミュニケーション論に依拠した談話分析を中心に据えて、進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
天候不良(台風、大雪)による公共交通機関の運休の影響で、数回の調査が中止となったことに因る。次年度使用分は、採択済の海外学会発表(2018年6月)にかかる旅費に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)