2016 Fiscal Year Research-status Report
財政困難下の米国大学における学生支援職の変化と戦略に関する理論的・実証的研究
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16K17425
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
小島 佐恵子 玉川大学, 教育学部, 准教授 (40434196)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高等教育 / 米国 / 大学職員 / 学生支援 / 理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2000 年以降とくに学費高騰が著しい米国の大学において、その影響を強く受けている学生支援に関する専門職(学生支援職)の変化と厳しい環境下を生きるための戦略を理論的・実証的に明らかにすることを目的としている。(1)米国の学費に関する国内の先行研究を概観し、近年学費高騰が著しい地域の州政府議会や大学の関連資料を探り、現状を整理する。(2)学生支援職に関する先行研究の検討を行い、理論的文献の渉猟をしたうえで、それを援用しながら戦略に関する分析を行う。(3)学生支援職に起きている経年的な変化を先行研究の結果と突き合わせながら、インタビュー調査で明らかにする。 平成28年度は主に(1)と(2)について研究を進めてきた。(1)については、日本学術振興会のJSPS海外学術動向ポータルサイトや、米国の高等教育に関する情報サイトを手がかりに、最新の情報を集め、各種研究所等の報告書を渉猟した。さらに、論文レンタルサイトを活用し、関連論文を収集し、読み進めた。また日本高等教育学会や日本教育社会学会に参加し、近い関心を持つ他の研究者と情報交換をし、近年の動向について確認をした。米国の研究者と交流をする機会ももったが、平成28年度は政権が変わったことで先行きが見えにくく、情報が得にくいときがあった。今後も随時情報収集を続けることで、動向を確認していく所存である。(2)については、社会学の理論に関する文献を読み、理論的枠組みの検討し、今後の学会発表に向けた準備を進めている。本研究では大学職員論について理論的な見地からの検討を行うことを一つの意義と捉えている。次年度の訪問調査先についても、これまで集めた資料や米国の研究者と連絡を取りながら具体的な検討を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、次の2点を目標としてきた。(1)米国の州財政や大学に関する統計資料の収集・整理を行い、先行資料を渉猟する。それを基に問題意識の整理とレビュー論文の作成をする。(2)社会学の理論に関する文献を読み、理論的枠組みの検討を行う。それをふまえて、訪問調査の準備を進め、学会発表準備を行うことである。(1)については、米国の大学に関する書籍や州財政・大学システム理事会、その他米国高等教育に関する統計資料を広く収集し、2000年以降の経過について整理している。大学職員、学生支援職にかかわる専門職団が刊行している論文集や高等教育関連の学会誌の関連論文を収集し、先行研究のレビューを行っている。これらをふまえて、訪問調査地域と大学(および調査対象者)の検討を行なっているところである。(2)については、これまで集めた資料から問題意識の整理を行い、まとめているところである。社会学関連の理論についても検討を重ね、分析枠組みの検討を行っている。当初の計画に沿って進めており、問題意識の整理のためのレビュー論文は現在作成中である。また日本高等教育学会や日本教育社会学会に参加し、近い関心を持つ他の研究者と情報交換をし、近年の動向について確認をした。米国の研究者と交流をする機会ももったが、平成28年度は政権が変わったことで先行きが見えにくく、情報が得にくいときもあった。そのため、計画以上には進まなかったが、おおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29 年度は、2 回の訪問調査を行い、調査で得られた事例の分析を進め、学会発表を行い、論文にまとめることを計画している。(1)先行研究と基礎資料をまとめ、学会発表の準備を進める。秋に訪問調査が実施できるよう、訪問先を検討し、早期に打診を行う。(2)第1回目の訪問調査を実施する。結果は文字に起こし、残された課題について確認しつつ、研究ノートとしてこれまでの知見をまとめる。それをもとに次回の訪問で尋ねることを検討し、訪問先を検討する。(3)年度末に第2回の訪問調査を行えるよう準備する。可能であればそれと連続してNASPA(学生支援の管理職の専門職団体)年次大会に参加し、全米の動向に関する情報の収集を行う。訪問調査で得たインタビューデータは文字起こしをする。調査結果をふまえて今後の課題をまとめ、理論的見地からの検討を重ね、論文を作成することを予定している。
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Causes of Carryover |
参加した学会の旅費が低く済んだことが次年度使用額が生じた理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文の購入などの資料収集や、国外調査費用に充てる予定である。
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