2019 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical Research on the Qualities and Abilities of Global Teachers of Secondary Schools in China
Project/Area Number |
16K17428
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
小野寺 香 奈良女子大学, アドミッションセンター, 准教授 (60708353)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 中国 / 中等教育 / 教員 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、グローバル社会で教員に求められる資質・能力について、中国の高等学校を対象として実証的に分析を行うことを目的とする。 中国では「素質教育」実現を目指した教育課程改革が進められてきた。「素質教育」は、学習者の徳、知、体、美等をバランスよく発展させること、一部の生徒を対象に優秀な人材を育成するのではなく全ての生徒を対象とすること、学習者の主体性を重視することを狙いとするものである。こうした教育を実践する教員の資質能力については、以下が指摘できる。 まず、教員評価制度は職務称号制度と連動しており、これは学校現場において競争原理を機能させることで教員の質的向上を図るものと言える。評価規準については、「素質教育」の理念に沿って生徒の試験成績や進学率を過度に重視せず、評価者としては同僚が中心となることとなった。また、教員に必要な能力として研究能力に関するものも強調されており、評価規準に研究論文数や科学研究費の採択等が含まれ、その能力向上が期待されている。従来の評価制度では、管理職が主に評価を行っており、評価の公正性を保障することが困難であることが指摘されていたことに鑑みれば、その多元化は必要であると考えられる。しかし、評価結果が職階の上進や昇給等の処遇を含む人事決定に関連する制度は、一般に学校に求められる同僚性の構築と共存できるのかという課題も残る。 この課題はグローバル人材育成を強調する国際部にもみられる。制度上は中国の教育機関であるが、国際教育課程を中国人教員と外国人教員が実践する国際部において、同僚性の構築がどのような形で実現可能なのか、今後の検討課題としたい。
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