保育専攻学生の個人差に応じた指導計画作成力向上の指導法

2016 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 16K17438
• Research Institution: University of Toyama
• Principal Investigator: 若山 育代 富山大学, 人間発達科学部, 准教授 (90553115)
• Project Period (FY): 2016-04-01 – 2019-03-31
• Keywords: 指導計画作成力 / 保育専攻学生 / 個人差

Outline of Annual Research Achievements

質の高い幼児教育が，子どもの小学校以降の認知的および非認知的能力の高さと繋がりがあることが明らかにされたことを受けて，幼稚園等では質の高い幼児教育の実現のためにカリキュラム・マネジメントが実施され始めた。
これを受け，保育者養成段階においては，カリキュラム・マネジメントを効果的に実施することのできる人材を育成するために，保育者志望学生の指導計画作成力を育成することが定められた。そのため，現在の保育者養成教育においては，授業や実習指導などにおいて学生の指導計画作成力を育成する取り組みが日々行われている。しかし，適正処遇交互作用（学習者の「適性」と「処遇（指導法）」には交互作用があり，両者の組み合わせによって学習効果が異なるというもの）の存在が認識されながらも，現在のところ，一斉的，画一的な指導の展開が一般的であり，保育専攻学生の個人差に応じた指導計画作成力を高める指導法については検討されていない。また，指導計画を作成する際に学生のどのような個人差の要因に着目すればよいのかということについても明らかにされていない。これらのことが，指導計画作成力の低い学生を生み出しており，このことは幼稚園等でのカリキュラム・マネジメント実施の障害となっていくと考えられる。
このような課題をふまえ，初年次である平成28年度は次のことを行った。①申請者のこれまでの研究成果を踏まえ，研究で使用するためのより信頼性の高いルーブリックの改善版を開発し，さらに，②最新の先行研究のレビューによって，指導計画を作成する際に着目すべき学生の個人差として，計画段階で提案していた個人的要因を次のように一部改善することとした。すなわち，「協同作業認識」「共感性」「保育観」「学習観」である。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

予備調査により，介入の際に使用する自己評価用ルーブリックに課題があることがわかり，改善版を作成する必要が出てきたため，データ収集よりもそちらを優先した。さらに，着目すべき学生の個人差についても，社会的スキルに関する最新の先行研究レビューが必要であることが学会等情報収集で明らかになり，それを受けてその分野に関する研究レビューを重点的に行ったことから，データ収集が遅れる結果となった。

Strategy for Future Research Activity

２年目は，１年目に開発した改善版のルーブリックを用いて計画していた学生の個人差の要因に着目したデータ収集を行う。その際，申請時に提案していたように，２種類の介入（ピアレビューとルーブリックによる自己評価）によって，学生の指導計画のエラー数がどのように異なるかを検証する。

Causes of Carryover

研究の介入の際に使用するルーブリックに修正が必要であることが予備調査の結果に判明し，その修正・改善を行ったため，データ収集が遅れた。また，学会等参加によって，着目すべき学生の個人的要因に改善が必要であることが判明し，先行研究のレビューを優先的に行ったため，データ収集が遅れた。以上の理由から，データ収集を初年度に行うことができず，そのため，次年度使用額が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

２年度目は予定していたデータ収集を行うため，次の通り助成金を使用する。１．データ収集のためのタブレットPC及びデータ保存機器，２．設備備品費として統計分析ソフト，３．事務用品費（カラーレーザープリンターインク代，印刷用紙，ファイル），４．人件費（研究資料の収集等を行う研究協力者に係る謝金）５．旅費（国内外学会参加費）