2016 Fiscal Year Research-status Report
戦後初期における小学校社会科学習指導の確立過程に関する研究
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16K17439
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
篠崎 正典 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (80705038)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 成立期社会科 / 学習指導 / 児童研究 / 青木誠四郎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,わが国の戦後初期における小学校社会科の学習指導の確立過程について,文部省教科書局教材研究課長であり,学習指導要領編纂の総責任者を務めた心理学者である青木誠四郎(1894-1953)の「児童研究」論が当時の実践に与えた影響についての分析を通して明らかにするものである。 本年度は,(1)青木誠四郎の「児童研究」論の形成過程,(2)青木誠四郎の「児童研究」論の構造,の2つの研究課題に取組んだ。具体的には,青木が1915年から1956年までに執筆した著作,論文,および長野県内の教育会や小・中学校で行った講演記録等計672件の史料を収集し,史料の複写とデータ化を通して整理と分析を行った。史料の分析については,史料の内容を青木の学問研究の中心である心理学研究と学習心理学研究の進展と職歴等を擦り合わせながら,「児童研究」論が形成された過程を跡づけるとともに,その構造について考察した。とりわけ,1941年から1946年度にかけて長野師範学校男子部附属小学校で行われた教科研究の指導に関わったことが重要な点であり,その中で青木の「児童研究」論の輪郭が明確になっていったことが確認された。青木の「児童研究」論は,戦後教育改革の中で文部省から評価されたことで,学習指導要領の作成や公民教育の実施と社会科への導入過程の中で活用され,重要な役割を果たしたことも併せて確認できた。 以上に関わる研究成果は,平成29年度中に,雑誌論文と学会発表にて公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多くの新資料を含む青木が執筆した著作,論文,講演記録等を収集して複写・データ化を行ったことで,彼の「児童研究」論の形成過程が明確になったことによる。また,次年度の研究課題である戦後初期に関わる史料も同時に発掘し,見通しが立てられた。
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Strategy for Future Research Activity |
戦後教育改革における青木誠四郎の「児童研究」論の役割を明確にすることである。具体的には,(1)青木の社会科教育論と「児童研究」との関わり,(2)社会科導入と実施における青木の役割,の2点について,文部省・CIE関係史料,学校関係史料等を用いて考察する。
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Causes of Carryover |
古書店における書籍(史料)の購入予定を,次年度に延期したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H29年度請求額と合わせて,古書店における書籍(史料)の購入に使用する。
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Research Products
(1 results)