2017 Fiscal Year Research-status Report
外界への働きかけとその受容の仕方に着目した文字教育法の開拓
Project/Area Number |
16K17441
|
Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
長岡 由記 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (90615915)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 国語科教育 / 文字教育 / 平仮名 / 幼小接続 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、昨年度に引き続き文字習得と文字教育に関する文献収集・調査と考察を行うとともに、学習者の自発的な「問い」に関する考察、また文字指導に活用しうる素材の研究を行った。主な研究内容は、以下の4点である。(1)子どもの自発的な「問い」をもとに文字に関する「問い」を整理・検討する。(2)言語教育の視点から文字教育の枠組みを仮設する。(3)文字教育の枠組み(試案)をもとに、文字に関する「問い」を分類する。(4)文字教育に活用しうる素材の収集、検討を行う。 まず、子どもの自発的な問いに関する先行研究を参考にしながら文字に関する「問い」を考察し、他者とかかわりながら文字への気付きを深める「問い」を分類して提示した。この研究成果については昨年度学会発表したものを論文にまとめて発表した(「他者とのかかわりを基盤とした平仮名学習の検討-平仮名に関する「問い」に着目して」『月刊国語教育研究』543)。次に、これらの「問い」を、文字教育の枠組み(試案)に基づいて分類した上で、文字教育で活用しうる素材の検討を行った。検討内容については、第133回全国大学国語教育学会福山大会(発表題目:平仮名学習材の検討-文字に関する問いに着目して-)において発表した。読字及び書字技能の習得に役立つ素材は多く用いられているが、それ以外の文字に関する気付きにつながるような素材の活用及びそれに対する学習者の様子について考察した先行研究はあまり多くはないため、今後は実証的に明らかにしていく必要がある。また、文字に関する「問い」の視点から主に考察を行ってきたが、文字学習場面における学習者の発話には、文字に関する「問い」だけでなく、学習者の文字に対する見方やこれまでの関わり方も表れていることが明らかとなってきたため、それについての検討を今後も継続して行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文字習得と文字教育に関する文献の収集、考察を行うことで、他者とかかわりながら文字への気付きを深めていく文字教育の実現に向けた基礎的な研究を進めることができた。しかし、当初予定していた幼児・児童の読み書き場面における発話や他者とのかかわり方の調査、分析ができなかった。なお、この調査については次年度実施する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
幼児・児童の文字遊び・学習に関する実態調査および文字教育に関する先行研究に基づいて、外界への働きかけとその受容の仕方の視点から文字教育法について考察を行う。
|
Causes of Carryover |
(理由)文献調査のための旅費を計上していたが、図書館相互貸借や文献購入によって経費の削減ができたため。 (使用計画)繰越金は、文献購入および文献複写費用等、資料収集に活用する。
|
Research Products
(2 results)