2017 Fiscal Year Research-status Report
道徳教科化に向けた役割取得能力の発達に応じた道徳授業の実践‐学校適応による検討‐
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16K17457
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Research Institution | Niigata Seiryou University |
Principal Investigator |
本間 優子 新潟青陵大学, 福祉心理学部, 准教授 (40410253)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 役割取得能力 / 学校適応 / 道徳教育 / 児童 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は平成28年度に実施できなかった,対照群のデータ収集と平成28年度に実施した介入群での道徳教育プログラムにおいて,効果がみられなかった児童に対し,小グループによる介入を行なうことを目的とした。 対照群として,公立小学校3年生28名のデータを新たに取得し,検討した。その結果,規則場面課題において17.9%が発達段階の向上が認められ,残りは変化がなく発達段階は維持された。対人場面課題については10.7%が発達段階の向上が認められ,残りは変化がなく発達段階は維持された。発達段階の変化について介入群と比較するため,χ2検定を行った。期待度数5以下のセルがあるため,Fisherの直接法による検定を行ったところ,規則場面,対人場面課題の両課題で介入群の方が変化があった児童が有意に多い傾向が示された(p <.10)。 次に,対照群の学校適応については, 1回目の測定と2回目の測定で,いずれの変数にも変化は認められなかった。他方,介入群は教師評定の規則遵守行動 (p <.10),および向社会的行動への効果(t =15.91, p <.001)を示している。介入を行わなければ,いずれの変数にも変化は認められないことが本研究により示され,プログラムの有効性が示唆された。 前年度,効果が認められなかった児童に対する再介入については, 3名を担任教師と抽出し,小グループで役割取得能力トレーニングを行った。うち2名には役割取得能力の促進やクラス内行動の改善に効果が認められた。効果が認められなかった1名に対しては再度,介入を行なった。2回目の介入では,役割取得能力の,より初期段階の能力である感情解釈能力の中で「怒り」に関するトレーニングを行ったところ,役割取得能力の促進およびクラス内行動の改善に効果が認められた。今後より詳細に検討し,事例研究としてまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に計画していた研究について,すべて実施することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究は計画通り進行しているため,今後は成果発表に向けて準備を行なう。 また,平成30年度も平成29年度に個別介入を行なった児童の効果が持続しているかどうかについてフォローアップを行なう。内容としては6月に道徳授業の見学を行い,対象児の授業中の態度を観察し発言内容を検討するほか,担任教諭に普段の学校での様子について聴取し,検討を行う。再介入が必要と判断された場合は,9月以降に再介入を行う予定である。
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Causes of Carryover |
0より大きいが,その額は2670円であり,小額であり記述を要するような特段の理由はない。次年度は学会発表等の,成果発表に主に予算を使用する予定である。
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