2018 Fiscal Year Annual Research Report
A proposal of cognitive model related to fluency in children with developmental dyslexia
Project/Area Number |
16K17463
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
蔦森 英史 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (60708478)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 発達性読み書き障害 / 流暢性 / 幼児 |
Outline of Annual Research Achievements |
発達性読み書き障害は音読および書字において、正確さのみならず流暢性も低下することが知られている。この流暢性に及ぼす認知的要因は主に就学後の児童を対象として調査されている。本研究は年長児を対象とし、流暢性に及ぼす諸要因を検討した。 対象は年長児74名(男性40名、女性34名、平均年齢6歳4ヶ月)であった。流暢性を測定するため、清音、濁音、半濁音を含む直音をランダムに配置した表を提示して、1分間に音読可能な文字数を測定した。流暢性に影響する認知的要因も検討するため、音韻情報処理能力として非語復唱(3モーラから9モーラ)、自動化能力として標準読み書きスクリーニング検査のRAN課題を実施した。 調査の結果1分間で音読可能な文字数の平均は63.9(max=122、min=0、SD=30.4)であった。分布の正規性を検討するためシャピロ・ウィルク検定を実施した結果、正規性の可能性を棄却できなかった(W=0.98、p=0.216)。流暢性に及ぼす諸要因を検討するため、従属変数を音読可能な文字数、独立変数を月齢、非語復唱モーラ数、RAN所要時間として、階層重回帰分析を実施した。その結果、有意な予測変数として、非語復唱(β=.43、R2 change=.28、p<.001)、RAN(β=-.36、R2 change=.12、p<.001)が抽出された。 音読可能な文字数は、平均値中心に広く分布していたことから、年長児の読み能力の個人差を評価する指標として有用と考えられた。月齢に関わらず、年長児の音読流暢性は、音韻処理能力と自動化能力に影響される可能性が考えられた。これらのデータが就学後の児童の書字や音読の流暢性に関係しているならば、就学直後から読み書きが苦手になる児童をフォローすることが可能になると考えられ、今後追跡調査の実施が重要であると考えられた。
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Research Products
(2 results)