2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K17468
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
田原 敬 茨城大学, 教育学部, 講師 (70735753)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 聴覚障害 / 環境音認知 / 評価法 |
Outline of Annual Research Achievements |
聴覚障害者の聴覚活用を取り巻く環境は,医療技術及び科学技術の発展の恩恵を受け,大きく変容してきている。そのような現状において,音声言語のみでなく,非音声言語を聴覚的に理解することは,聴覚障害者のQOLを高めるための一因になり得るという意見もみられるようになった。そこで本研究では,聴覚障害者における環境音を中心とした非言語音認知の評価法を確立することを目的に基礎的検討を行っている。 平成29年度では,平成28年度に引き続き,研究1:音響情報が及ぼす影響,研究2:聴力や補聴機器の違いが及ぼす影響について検討を行った。各周波数レベルにおける聴力レベルを独立変数,環境音識別実験の聴取成績を従属変数として重回帰分析を行ったところ,250Hzと2000Hzの裸耳聴力レベルが環境音の聴取成績に影響を及ぼすことが明らかとなった。なお,これらの成果は国内学会にて発表を行った。 他方で,研究3:背景情報が及ぼす影響と研究4:聴取経験が及ぼす影響に関しては,これまで得られた研究成果をまとめたものを国内学会で発表した。さらに,研究3に関しては,生理指標(脳波)を用いて,文脈から意味的に逸脱した環境音を聴取する際の認知過程について検討を行った。環境音の認知においてはカテゴリ間の違いに着目した認知が優先される可能性が明らかとなり,その結果を国内学会で発表した。また,研究4のテーマに関しては,聞いた音を擬音語で表現するといった手法を用いて聴覚イメージに関する検討を行い,音源名を回答した場合との差異について検討を行った。この結果については,平成30年度以降に発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究1と研究2に関しては平成29年度の実施予定はなかったものの,引き続き検討を行ったことで,平成28年度に得られた知見をさらに深めることができた。一方で,研究3と研究4に関しては,学会発表を通してこれまでの知見や今後の課題について整理できた。また,環境音聴取時の脳波計測や擬音語での回答を求めた識別実験など,新たな手法を取り入れた実験を行うことができた。 以上より,進捗状況については概ね順調であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究3や研究4に関しては追加の研究を行なうとともに,これまで得られた実験結果を整理し,聴覚障害者の環境音認知に関する評価の在り方についてまとめる。
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