2016 Fiscal Year Research-status Report
社会的情報への注目が自閉スペクトラム症の言語発達と社会性発達に与える影響の探求
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16K17469
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
藤岡 徹 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 特命助教 (80770594)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 社会的情報への注目 / 言語能力 / 社会性 / 縦断的追跡研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
人の目を見るなどの“社会的情報への注目”は、自閉スペクトラム症(ASD)児者では定型発達(TD)児者より弱く、将来の言語能力や社会性に関連しているとされる。しかし、どの種類の社会的刺激への注目が将来の言語能力や社会性により大きな影響を与えているのかは明らかになっていない。そこで本研究は、4つの社会的情報(①顔刺激、②人と幾何学模様、③指差し、④バイオロジカルモーション)を提示して社会的情報への注目を測定できるGazefidnerを用いて、どの社会的情報への注目が言語能力や社会性の発達に大きく関係しているかを3年間の縦断的追跡研究を通して明らかにする目的とした。なお、言語能力や社会性はVineland適応行動尺度を用いて計測した。 当該年度は、ASD群9名(4.6+/-0.9歳)にTD群25名(4.4+/-1.1歳)に参加をしてもらい、1回目の視線計測と検査を実施した。途中経過の解析データであるが、ASD群において、Gazefinderの②人と幾何学模様における幾何学模様の注視率と言語能力の間には有意な負の相関が認められた(r = -.67)。つまり、人と幾何学模様が同時に提示された時に幾何学模様をよく見るASD児ほど、言語能力が低いという結果であった。この結果から、ASD幼児において、人への関心が、人とのやり取りに関連する言語コミュニケーションの発達に強い影響を及ぼすことが示唆された。 今後は、今回参加してもらった研究協力者に半年ごとに視線計測を、1年ごとに諸検査を実施してもらい、それらの経年的変化とその関連について明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に自閉スペクトラム症群においてであるが来年度も継続して募集する必要があるため。 視線計測や検査の実施、学会発表などのその他の点に関しては、順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、研究協力者を増やして、研究を継続していく。また、全参加者の1回目実施時の「社会的情報への注目」と「言語能力や社会性」の関連についての結果をまとめ、研究成果を発表していく。
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Causes of Carryover |
研究協力者が予定よりもやや少なかったため、その分の謝金と研究補助の人件費が少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き被験者を募集し、その分の謝金と研究補助の人件費に隔てるものとする。また、結果を諸学会で学会で発表し、意見交換と情報収集も行う。
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Research Products
(1 results)