2016 Fiscal Year Research-status Report
学習障害児を対象とした早期支援プログラムの開発に関する調査研究
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16K17470
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Research Institution | Hokusho University |
Principal Investigator |
石塚 誠之 北翔大学, 教育文化学部, 講師 (90726118)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 学習障害 / スクリーニング / 早期支援 / 算数困難 / 読み困難 |
Outline of Annual Research Achievements |
学習障害児のうち、読み困難、算数困難が疑われる児童は、通常学級に在籍する児童の約4.5%に上ると報告され、特別支援教育の枠組みを超えて学校教育全体の大きな課題となっている。しかし、実際のところ学習困難児への指導については、既に研究における蓄積が進められており、近年、学校場面において「学習困難が疑われた段階でいかに早期に効果的な支援を行えるか」という点に焦点が当てられている。これまでの実践では、学習困難が重篤化してから支援が開始されるため,既に学習に対する苦手意識が固まっているなど、二次的な問題が状態を複雑化させていると指摘されていた。そこで、本研究が目的とするのは、児童に対する学習困難リスクを早期に評価し、支援につなげる包括的なシステムの開発ならびに、その効果を実際的に検証することである。 2016年度は初年度であり、石塚ら(2012)や石塚ら(2013)で用いた就学後早期の算数困難スクリーニング法、読み障害と対象とした小枝ら(2011)の研究手続きを多層指導モデルに適用し、包括的な学習障害の早期支援プログラムを適用する上での課題を明らかにすると共に、学習障害のハイリスク児を対象とした調査を行った。なお、学校場面における行動記録データ収集を各ステージで確認し、数値判断課題の課題成績、1年生修了時の児童の学習成績、参加者のアセスメント情報とそれに対応して作成する支援計画、学校場面における教師の指導法・支援行動の実態及びその変容、対象児童の学習時の行動の実態及び変容について主に検討課題を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本介入を小学校1年生に適用し予備的な検討を行ったが、早期発見につながるスクリーニング課題について検討を行い、就学後初期の児童の実施データが得られた。石塚ら(2012)や石塚ら(2013)で用いた就学後早期の算数困難スクリーニング法、読み障害と対象とした小枝ら(2011)の研究手続きを多層指導モデルに適用し、包括的な学習障害の早期支援プログラムを適用する上での課題を明らかにしたという点でおおむね順調に進展しているといえる。一方で、就学前の幼稚園在学後期の児童の数の認知に関する参考データが得られたという点で、当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
算数・国語は多領域で構成されており、様々な認知能力が寄与するといわれている。そのため、スクリーニング課題の精度を上げるため、テストバッテリーを組む必要がある。本研究では、学習障害の早期スクリーニングを読み困難と算数困難について検討しているが、課題間の関連について検討するため、数値判断課題の課題成績と音読課題成績の関連について検討することが必要であり、データを増やし分析を進める予定である。また、1年生修了時の児童の学習成績、参加者のアセスメント情報とそれに対応して作成する支援計画については、読み・算数困難リスクが高い児童の発達検査等の結果から、詳細なプロフィール分析を行い、それらの結果を参考にして、プログラムの修正を行うことを検討しており、その調査依頼を行っているところである。
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