2018 Fiscal Year Annual Research Report
Research on Developmental Support of Children with Developmental Disabilities Who Have Difficulties Related to Food and Diet
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16K17476
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
田部 絢子 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (70707140)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 発達障害 / 食の困難 / 当事者調査研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究「発達障害児の「食の困難」の実態と発達支援に関する実証的研究」の目的は、発達障害の子どもがどのような「食」に関する困難を有し、いかなる理解と健康増進の発達支援を求めているのか、またその対応・支援のあり方を実証的に解明することである。具体的には、発達障害当事者(学齢~成人)、保護者、特別支援学校・学級等の教師、管理栄養士等の学校栄養職員への調査を通して、発達障害当事者・保護者の有する食の困難と学校の対応のあり様を明らかにしてきた。 各種の調査を通して、発達障害当事者は食に関する特異的な困難さと発達支援ニーズを有することが把握でき、その表出状態には「不安・緊張・恐怖・ストレス」が大きく影響していた。発達障害当事者の視点から考察すると、過去に摂食経験があって「安心・安全・信頼」のおける食べ物として判断したものを主体的・積極的に選択し続けているにもかかわらず、周囲からは「偏食」と否定的に捉えられている。さらに食の困難が保護者の育児不安・ストレスをより強めている可能性が示唆され、食に困難・支援ニーズを有する親子を子育ての早期から孤立させない支援システム構築は緊要の課題であった。 一方、学校栄養職員による発達障害等の子どもの食の困難・支援ニーズへの理解・対応はほとんどなされておらず、養成課程カリキュラムや専門職研修において専門性が構築できるような改善が求められていた。 本研究の成果は、田部絢子・髙橋智『発達障害等の子どもの食の困難と発達支援』風間書房(全358頁、2019年2月刊行)としてまとめた。本書は、発達障害当事者、保護者の有する食の困難・支援ニーズと学校における対応・支援の実態を明らかにした日本で最初の学術書である。
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Research Products
(10 results)