2017 Fiscal Year Research-status Report
自閉症児童の社会的スキルの般化・維持に対するセルフモニタリングの効果と変数の検討
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16K17479
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
半田 健 宮崎大学, 教育学部, 講師 (90756008)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム / 社会的スキル / セルフモニタリング / 通常の学級 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、小学校の通常の学級における自閉症児童の社会的スキルの般化・維持に対するセルフモニタリングの効果と、その効果に影響を及ぼす変数を明らかにすることを目的としている。 予備的研究として、通常の学級におけるセルフモニタリングが、特別支援学級でのソーシャルスキルトレーニングによってもたらされた指導効果を通常の学級に般化・維持させることができるか検討した。その結果、セルフモニタリングの有効性が明らかにされた。 平成28年度では、通常の学級におけるセルフモニタリングの効果に影響を及ぼす変数として、記録間隔を取り上げた。セルフモニタリングの導入にあたり、記録間隔に関するアセスメントを行ったところ、対象児間で効果に差が見られた。この結果を踏まえ、各対象児に適した記録間隔でセルフモニタリングを実施したところ、その有効性が明らかにされた。このことから、事前に記録間隔に関するアセスメントを行うことで、対象児にとって効果的で実施可能な手続きの条件を同定できると示唆された。 平成29年度では、国内の学会で平成28年度の研究成果について研究発表を行い、成果の普及に努めた。また、通常の学級におけるセルフモニタリングの効果に影響を及ぼす変数として、記録間隔以外の変数を取り上げるため、国内外の学会や研究協力校での情報収集を実施した。その結果、いくつかの変数の影響が示唆された。平成30年度では、これらの新たな変数を取り上げ、通常の学級におけるセルフモニタリングの効果に及ぼす影響を検討する。さらに通常の学級において社会的スキルの般化・維持をもたらす指導方法として、先行研究より、集団随伴性の有効性が示唆された。そのため、予備的研究として、通常の学級において集団随伴性を用いた指導を実施したところ、児童の学習準備行動の改善が示された。平成30年度では、本研究の今後の展開として集団随伴性に関する知見も収集する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度では、研究代表者の所属機関の変更に伴い、研究協力校にて、通常の学級でのセルフモニタリングを実施することができず、十分な事例研究を行うことができなかった。一方で、研究協力校にて丹念に情報収集を行った結果、通常の学級におけるセルフモニタリングの効果に影響を及ぼす変数について新たな示唆を得ることができた。このことから、平成30年度では、新たに示唆を得られた変数を取り上げ、研究協力校にて、通常の学級におけるセルフモニタリングの効果に及ぼす影響を検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、当初、通常の学級におけるセルフモニタリングの効果に影響を及ぼす変数として、教示や記録用紙を取り上げる予定であった。しかし、研究を進めるに当たり、教示や記録用紙よりも記録間隔について検討するほうが、国内の学校場面にとって重要であると考えられた。その理由として、記録間隔が短いほど自己記録のタイミングを知らせる音や振動が増え、対象児の学習に対する注意をそらしたり、級友の望ましくない注目を得たりする危険性が増すと推測されたことが挙げられる。そのため、本研究では記録間隔を取り上げ、その影響を検討している。平成30年度では、記録間隔以外の変数についても、学校場面における重要性や受容性を加味しながら検討していく。 また、通常の学級において社会的スキルの般化・維持をもたらす指導方法として、先行研究より、セルフモニタリング以外に集団随伴性の有効性が推測された。そのため、予備的研究として、通常の学級において集団随伴性を用いた指導を学習準備行動に対して実施したところ、その有効性が示唆された。集団随伴性は、対象児を含めた学級全体を対象とすることから、通常の学級担任が日頃の学級運営で用いやすいと考えられる。平成30年度では、本研究の今後の展開として集団随伴性に関する知見も収集していく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、研究代表者の所属機関の変更に伴い、研究協力校での十分な事例研究ができなかったことから、それらに関する経費を支出できなかったことが挙げられる。次年度使用額の使用計画として、研究協力校での事例研究に伴う旅費や物品費に計上することを計画している。
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Research Products
(1 results)