2016 Fiscal Year Research-status Report
糖鎖特異性の違いを利用したインフルエンザウイルスの結合性変異の追跡デバイス
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16K17498
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
秀島 翔 早稲田大学, ナノ・ライフ創新研究機構, 次席研究員(研究院講師) (10580433)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電界効果トランジスタバイオセンサ / 糖鎖 / インフルエンザウイルス / 分子間相互作用 / 糖鎖クラスター効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、インフルエンザウイルスのヒトへの結合性を司るタンパク質と特異性を有するシアロ糖鎖を利用した半導体バイオセンサデバイスを作製し、パンデミックウイルスの結合性変異を見分ける手法の可能性を探索する。平成28年度は、ヒト型受容体であるα2,6結合型シアロ糖鎖および鳥型受容体であるα2,3結合型シアロ糖鎖を固定化したセンサ界面が、ヒトインフルエンザウイルス(H1N1)及び鳥インフルエンザウイルス(H5N1)に対する捕捉能を有するか評価した。まず、α2,6結合型シアロ糖鎖であるα2,6シアリルラクトースを固定化した界面およびα2,3結合型シアロ糖鎖であるα2,3シアリルラクトースを固定化した界面に対する、H1N1ウイルス粒子及びH5N1ウイルス粒子の吸着を原子間力顕微鏡を用いて観察したところ、α2,6結合型シアロ糖鎖固定化界面にはH1N1ウイルス粒子、α2,3結合型シアロ糖鎖固定化界面にはH5N1ウイルス粒子と考えられる100 nm程度の粒子の特異的吸着が確認された。また、シアリルルイスXラクトースの固定化条件(反応溶液濃度や反応時間)を探索し、鳥インフルエンザウイルスを捕捉可能な糖鎖固定化界面の作製を試みた。また、糖鎖を固定化した電界効果型トランジスタ(FET)バイオセンサを用いたウイルス検出の可能性を検討した。更に、今後デバイスの実用的に利用する際、鼻汁等粘液中に存在するウイルス検出が求められるが、粘液中の多糖類のムチンを多く含み粘度が高いため、センサ界面へのウイルス吸着が起こりにくくなると考えられた。そこで鼻汁の粘性を低下させるプロセスとして、ムチン内のジスルフィド結合を開裂する処理の有効性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
作製した数種類の糖鎖固定化界面が、ターゲットであるインフルエンザウイルスを特異的に捕捉することを確認した。更に、今後の展開を踏まえて、粘液中に存在するウイルスの検出に向けた粘性を低下させる処理に関する知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
様々な構造を有する糖鎖をセンサ界面に固定化することで、ウイルス高捕捉能を有するセンサ固定化界面を具備したFETバイオセンサを作製し、ウイルス表面タンパク質の結合性変異の検出可能性を示す。
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Causes of Carryover |
研究開発は順調に進んでいるものの、成果の一部が発表水準に達しなかったことがあり、学会などへの出張が計画より少なくなり、旅費が若干少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究開発の効果的な推進に向けて、薬品や実験機器の購入を増やすこと、学会への参加のための旅費に使用すること、および論文投稿料や英文校正のための謝金として使用することを計画している。
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Research Products
(2 results)