2016 Fiscal Year Research-status Report
Development of a microdevice for the study of the interaction between endothelial cells and neuronal cells
Project/Area Number |
16K17501
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
オケヨ ケネディオモンディ 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (10634652)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 3次元共培養デバイス / 血管ー神経相互作用 / 血液脳関門 / メッシュ培養技術 / 密着結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,独自に開発したモノレイヤー細胞シート作製技術(メッシュ培養技術)及びマイクロ流体技術を駆使し,血管細胞と神経細胞の3次元共培養を可能にするマイクロデバイスを開発することにより,血液脳関門(blood-brain barrier, BBB)の基礎機能ユニットを生体外で再現することを目指している.このようなモデルは薬物動態に応用が期待されている. 本年度は,メッシュの線幅,開口部のサイズや形状を変えながら,BBBにみられる密着結合の特徴をもつ脳毛細血内皮細胞組織の構築条件を検討した.そのため,メッシュ培養技術を基に,血管内皮細胞と線維芽細胞,および血管内皮細胞と上皮細胞のそれぞれの共培養システムを作製した.なお,血管内皮細胞には,一般的に使われているHUVECs(Human Umbilical Vascular Endothelial Cells)を用い,線維芽細胞および上皮細胞のそれぞれにはTIG-120およびNCl-H441細胞を用いた. 上述のメッシュ培養法でまず線維芽細胞または上皮細胞を播種して細胞シートを作製し,次にその上にHUVECsを直接播種して共培養した.その結果,下敷きの線維芽細胞(または上皮細胞)とのインタラクションによってHUVECsが広がり,結果的に線維芽細胞を覆うHUVECsのレイヤーが形成された.その一方で,HUVECsと上皮細胞の場合においては,上皮細胞のみをメッシュ上で培養しても細胞が広がらず,細胞シート形成に至らないのに対し,HUVECs+内皮細胞の共培養では,それぞれの細胞が広がりレイヤーを形成することが分かった. 次に,VE-Cadherinの免疫染色により,得られたHUVECレイヤーの密着結合を調べた結果,レイヤー全面においてVE-Cadherinが一様に発現されていることが明らかとなり,メッシュ培養の有用性を確認できた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は当初の計画通りに進んでいると評価できる.まず,BBBモデル作製に重要な要素である血管内皮細胞の密着結合の確認ができているので,次にニューロン等を含む3次元共培養デバイスへの発展が可能となった. 当初予期していなかったこととして,血管内皮細胞のレイヤーが形成された後,線維芽細胞の誘導により血管新生が起こることである.また,これに伴って,線維芽細胞層の層厚が肥大化する現象も確認できている.これは線維症で見られる現象と類似性が高く,興味深い現象であるため,本路線からは少し外れるが,探ってみることにした. この現象は異種細胞間相互作用の結果であることは明らかではあるが,血管新生が先なのか,線維芽細胞層の肥大化が先なのかは現時点では明らかではないので,今後の研究でこれを明らかにする.現在,血管新生と肥大化の同時性を高分解顕微鏡観察により調べるとともに,本研究で検討している神経ー血管相互作用との類似性も調べていく予定である.
|
Strategy for Future Research Activity |
血液脳関門では,血管系・神経系の細胞の相互作用が物質の選択的輸送において重要であり,本研究で開発するデバイスにおいても,この相互作用が起きる条件を整うことが成功の鍵を握る.上記の通り,血管内皮細胞を用いた共培養システムの構築が可能であることは既に掴んでおり,次に脳神経細胞も含むマイクロデバイスの作製に入る.具体的に,作製した血管内皮細胞組織をデバイスの中央に配置し,その上部には流体が流れるチャンネルを設け,その下部には,脳側細胞の共培養培養のために,マトリゲル層を設ける.なお,高分解能観察が容易なため,マトリゲルの厚みを0.5mm程度とし,血管内皮細胞の下面に配置する.さらに,刺激電極(ITO電極および局所刺激用電極)と化学的刺激のための刺激物導入経路を設けることで,流れのせん断応力による機械的刺激に加えて,神経の電気的・化学的活性化と物質輸送の関係を検討可能にする.なお,培地供給はマイクロ流路に連結した培地循環システムにより行う. 次に,脳側の細胞(アストロサイトとニューロン)をマトリゲル層内で培養しながら,タイムラプス観察によりその形態変化を観察すると同時に,ニューロンの電気的刺激を扶養しながらシステムのカルシウム応答を調べる.特に電気的刺激に対する血管細胞のカルシム応答を観察することで,血管・神経細胞の相互作用の有無を確認する.まず,血管内皮細胞―アストロサイトの共培養でシステムを評価し,その後,ニューロンを導入し,血管と脳細胞の3次元共培養システムを完成させる.以上の行程により、血液脳関門の基礎機能ユニット(NVU)を再現し,血管内皮細胞とアストロサイトを介した血管とニューロンの異種細胞間相互作用が確実に起こる条件を検討する.なお,ここでは,比較的培養し易いアストロサイトを使用する.アストロサイトはグリア細胞の一種であり、血管新生の誘導を担うとされている.
|
Research Products
(11 results)