2017 Fiscal Year Research-status Report
微量・高速生化学分析に向けたマイクロ水滴多段階分離機構の開発
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16K17503
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福山 真央 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (40754429)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自然乳化 / Droplet microfluidics / 界面活性剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、1つのマイクロメートルサイズの水滴(マイクロ水滴)内での酵素活性アッセイの実現を目指し、ナノ粒子およびタンパク質の自然乳化中における挙動明らかにした。さらに、プロテアーゼの例の一つとして、パパインを利用して、酵素活性アッセイを検討した。 蛍光色素を修飾した数-100 nmナノ粒子の分散液を用いて水滴を作成し、自然乳化における界面移動を蛍光顕微鏡にて観察した。その結果、25nm以上のサイズのポリスチレン製ナノ粒子が、自然乳化にて生成したナノメートルサイズの水滴(ナノ水滴)へと分配しないことがわかった。この結果より、目的分子をナノ粒子に、分子を選択的にマイクロ水滴へと留めることが可能になった。また、表面官能基や粒子の材質により、ナノ粒子のナノ水滴への分配を調節可能であることがわかった。さらに、タンパク質の例として、蛍光色素を修飾したウシ血清アルブミン(蛍光BSA)の挙動を顕微観察したところ、非イオン性界面活性剤であるSpan 80のみを用いた自然乳化においては、蛍光BSAマイクロ水滴内に濃縮されることがわかった。 酵素活性アッセイの例として、パパインの検出を実証した。基質として蛍光BSAを用いたとき、パパインに分解された蛍光BSAはナノ水滴へと出ていくことがわかった。この結果はマイクロ水滴の蛍光強度の時間変化を計測することで、パパインの活性測定が可能になることを示唆している。この挙動を利用することで、様々なプロテアーゼの酵素活性アッセイが可能になると期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H29年度までに、本研究の目標の一つである1水滴内での酵素活性アッセイの可能性が示された。現在は定性的な知見を得られたにすぎないため、今後、測定可能な酵素濃度や酵素種類の評価等、より詳細な検討が必要になると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度までに、自然乳化時におけるタンパク質の挙動が明らかになり、プロテアーゼの活性アッセイの可能性が示された。今後は、ペプチド配列による分配挙動の違いについて定量的な評価と、本手法が適用可能な酵素濃度・種類について検討する予定である。また、自然乳化時におけるリポソームの挙動を調べ、本研究のもう一つの目標である、細胞外小胞体計測への応用可能性について検討する予定である。
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Causes of Carryover |
H29年度は、ペプチド合成など試薬購入のための予算を計上していた。これは、これまでごく短いペプチドしかナノ水滴へと分配されないと想定していたため、プロテアーゼ活性アッセイを実証する上で大量のペプチド合成が必要になると考えたためである。しかし、H29年度の結果より、より安価な蛍光標識したウシ血清アルブミンが使用できると判明したため、請求額と使用額の間に差が出た。
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