2016 Fiscal Year Research-status Report
光触媒の表面構造制御とキャリア制御による高性能濡れ性スイッチングの開発
Project/Area Number |
16K17505
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小林 大造 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 准教授 (20557433)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 表面幾何学構造 / 超撥水性/超親水性スイッチング / 光触媒 / 微細加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来報告されているアナターゼ型酸化チタン系光触媒は紫外線照射により迅速に超親水性を示す。一方、暗環境での撥水化の進行速度は非常に遅い。高速かつ可逆的に酸化チタンの濡れ性を変化できれば、ワイヤレスな液体操作へも応用できる。 本研究では撥水化速度に優れるルチル型酸化チタンへバイアス電圧を印加し、光生成キャリアの動きの促進/抑制による親水化/撥水化の双方の光応答速度の高速化を目指す。さらに固液接触界面を極小化する表面構造を組み合わせることで暗時の撥水性を増幅し、可逆的な超撥水性/超親水性スイッチングを可能とする。 平成28年度は、酸化チタン膜の光応答性の改善と濡れ性変化幅を増幅する表面構造として傘構造付きマイクロピラーアレイの設計および微細加工プロセス開発を進めた。形状パラメータを変化した表面幾何学構造へ酸化チタン薄膜を被覆し、光照射による超撥水性/超親水性スイッチングの応答性について調べた。幾何学構造最適化とルチル型結晶構造制御を組み合わせることで撥水化に要する時間を180分から6分へ短縮した。開発した表面とマイクロ流体デバイスへの応用に関して国際論文誌採択2件、国際会議採択3件、国内学会1件の成果発表を実施した。 バイアス電圧の極性により濡れ性変化の応答時間が変化することを確認した。平成29年度は、平成28年度に設計した表面構造に対する導電層/酸化チタンの被覆プロセスとバイアス電圧印加機構を開発する。さらにシステムのワイヤレス化を行い、濡れ性スイッチングによるマイクロバルブの動作モデルの提示を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表面幾何学構造と酸化チタン薄膜被覆を組み合わせた超撥水性/超親水性スイッチングの開発を進めた。平成28年度は、酸化チタン膜の光応答性の改善と濡れ性変化幅を増幅する表面構造の設計を進めた結果、計画通りに表面幾何学構造の形状パラメータと濡れ性スイッチング時間の関連性を明らかにした。次年度の課題の事前調査として、バイアス電圧の極性により濡れ性変化の応答時間が変化することも確認したことから、本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ワイヤレスなバイアス電圧印加機構の集積化に注力し、濡れ性スイッチングの高速化の方法を確立する。導電層/酸化チタン積層膜を被覆した幾何学的表面構造による低温(40℃以下)、高速(10分以下)の超撥水性/超親水性スイッチングの評価を行う。正負のバイアス電圧を印加できる機構を集積し、ワイヤレス化への道筋を開く。
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Causes of Carryover |
H28年度は微細加工による表面構造制御に注力したため、表面の組成分析に関わる分析委託や表面電位計測のための測定器購入等の支出が想定よりも小さくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度前半に、上記予算(表面組成分析の外部委託および、表面電位計測装置の導入)の執行を計画している。
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Research Products
(6 results)