2016 Fiscal Year Research-status Report
ランダム光共振器と半導体励起子の強結合による新奇物理現象の発現
Project/Area Number |
16K17506
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
中村 俊博 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (90451715)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ランダムレーザー / 酸化亜鉛 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、半導体微粒子で構成されるランダム共振器と半導体中の励起子を結合させ、励起子状態を制御することで、従来のランダム構造系では不可能な新奇物理現象の発現を目指している。今年度は、上記の目標を達成するために初期段階として、本研究遂行に最適な半導体微粒子の種類・サイズ・形状の選定を行い、さらに詳細な特性を評価した。本研究では、半導体微粒子として、酸化亜鉛粉末を用いる。酸化亜鉛はその優れた発光特性から、有望なレーザー材料として知られており、安価・安全であることから紫外レーザーデバイスへの応用が期待されている。本研究では、酸化亜鉛中に励起される励起子モードとランダムレーザーモードの結合を図るため、適切な構造を選択することで、ランダムレーザーの利点である簡便さを維持したまま、モード特性のある程度の制御が可能となる構造を模索した。本研究では、簡易に作製可能なランダムレーザーの特徴と、モード制御性を兼ね備えた、不均一形状をもつ酸化亜鉛マイクロ微粒子ランダムレーザーに着目し、マイクロ粒子のサイズや結晶性などをパラメータとしてレーザー発振特性の評価を行った。その結果、マイクロ粒子のモード制御性は、そのサイズに大きく依存することを見いだした。さらにレーザー発振のしきい値は、サイズだけでなく結晶性にも影響されることがわかった。レーザー発振しきい値が高い場合には、励起子は存在できずに、電子-正孔プラズマ状態で発振するため、本研究の到達目標である励起子との結合状態の実現は難しい。以上のように、ランダム共振器モードと励起子との結合させるためには、粒子サイズだけでなく酸化亜鉛の結晶性のコントロールも重要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の進捗状況として、以後の研究に最適な系を見いだすため、簡易に作製可能なランダムレーザーの特徴を備え、モード制御が可能な、不均一形状酸化亜鉛マイクロ微粒子ランダムレーザーの、マイクロ粒子のサイズや結晶性などをパラメータとしたレーザー発振特性の評価を行った。そして、マイクロ粒子のモード制御性が、粒子サイズに大きく依存し、粒子径の増加に伴いモード数が増加する傾向であることがわかった。さらにレーザー発振のしきい値が、結晶性に大きな影響を受けることもわかった。そのため、励起子との結合のためには、当初想定したサイズ制御だけでなく優良な結晶性を持つ粒子の選定が重要であり、試料条件の最適化が必要であることがわかったため、本研究計画推進の基礎となる知見を得ることができたと評価される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の研究推進方策としては、まず、低しきい値を持つ酸化亜鉛マイクロ微粒子ランダムレーザーとなる酸化亜鉛マイクロ粒子の選定を引き続き進める。そのために、粒子サイズだけでなく、粒子の結晶性の向上や不純物ドーピングなどにより、高い発光量子効率を有する酸化亜鉛粒子を探索し、そのレーザー特性の評価を広い温度範囲で行う。そして。早い段階での、ランダム共振器と励起子の強結合の実現ステップへの移行を行う予定である。
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Research Products
(22 results)