2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K17508
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
北岡 幸恵 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (30760269)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 第一原理計算 / 4d遷移金属 / 強磁性薄膜 / 電界印加 |
Outline of Annual Research Achievements |
(本研究は平成28年度~平成30年度に行う予定であったが、産前産後の特別休暇および育児休暇の取得により研究活動を中断していたため、令和2年度まで延長する。ここで記述する実施した研究成果は、研究活動を中断する以前に行った内容である。) 本研究「4d遷移金属を用いた新規強磁性薄膜の理論設計」の主な目的は以下の2項目である。(1) 直径10ナノメートルサイズに耐え得る高い磁気異方性エネルギーをもつ強磁性薄膜の設計、(2) 電界印加によって磁気異方性エネルギーが減少する強磁性薄膜の設計 である。以上の2点で構成される本研究の意義は、第一原理電子状態計算手法を用いて、約 30×10^7 erg/cm^3 の結晶磁気異方性エネルギーをもつ MgO/4d遷移金属の界面の探索を行い、その界面での電子状態の理解を深めることである。また、電界印加による結晶磁気異方性エネルギーおよび電子状態の変化を解析することで、垂直から面内に磁化スイッチングが起こるMgO/4d遷移金属界面の探索を行うことである。 これまで、MgO/Ru界面における結晶磁気異方性エネルギーとその電界効果について研究を行った。界面形成によって結晶磁気異方性エネルギーが増加する原因、および電界印加した際の結晶磁気異方性エネルギーと電子状態の変化について計算を行った。その結果、MgO/Ru界面では、結晶磁気異方性エネルギーが 6.34 mJ/m^2 となり、電界印加によって -97 fJ/Vm の結晶磁気異方性エネルギーが変化することがわかった。この研究成果を論文にまとめ、AIP advances誌に発 表した。 以上の研究で得られた知見によって、次世代のMRAMを担うMTJ素子のための強磁性薄膜材料の理論設計が前進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年8月~令和2年3月まで、産前産後の特別休暇および育児休暇を取得していたため、作業が遅れている。休暇中も材料探索のための計算は行っており、令和2年4月から解析および論文作成を始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時に計画していた通り、引き続き、電界印加によって垂直から面内に磁化スイッチングが起こるMgO/4d遷移金属の界面構造を探索する。また、実際のMTJ材料として提案できる材料を設計するために、MgO/4d遷移金属/MgO系において、同様の電界効果を示す材料を探索する。
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Causes of Carryover |
(理由)産前産後の特別休暇および育児休暇の取得により研究活動を中断したため、助成金を計画通りに使用することができなかった。 (使用計画)研究中断期間が1年以上あるため、研究期間を延長した。それに伴い、助成金の使用計画もスライドさせる予定である。
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