2016 Fiscal Year Research-status Report
ヘテロ中間層を用いた非極性面発光デバイスの偏光特性制御と高性能化
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16K17514
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
岡田 成仁 山口大学, 創成科学研究科, 助教 (70510684)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | GaN / 非極性面 / InGaNテンプレート / 積層欠陥フリー |
Outline of Annual Research Achievements |
1.InGaN層の選択横方向成長 {11-22} GaN上に成長した {11-22} InGaNにストライプパターン加工を施し、InGaNの選択横方向成長を試みた。再成長後の断面、表面SEM観察を行った。表面SEM像からは平坦なInGaN層が得られたことがわかった。この膜の上にInGaN/GaN活性層を成長させた結果、通常の非極性面GaN上以上の発光強度を得ることができさらに、InGaN層を適用したことによる組成引き込み効果の増大により発光ピーク波長が長波長化することを確認した。この結果は緑色LEDの高効率化につながる技術である。 2.非極性面GaNの高品質化 研究計画書で提案した大阪大学森研究室との共同研究を実施した。山口大学で作製した{11-22}GaNテンプレート上にポイントシードNaフラックス法を適用した。{11-22}GaNテンプレートの転位密度、積層欠陥密度はそれぞれ10^10 cm^-2、10^5 cm^-1オーダーであったが、ポイントシード成長後には転位密度は10^6 cm^-2オーダーまで低減し、透過型電子顕微鏡による積層欠陥は観察領域内では確認できないことがわかった。低温CLによって、面内の積層欠陥分布をとった場合においても、積層欠陥起因である発光のスペクトルはなく、すべてバンド端近傍からの発光であることが明らかとなった。これまで積層欠陥が完全にフリーな非極性面GaN基板はc面GaN基板からの小片切り出しでのみで達成されていたため、今後大口径の積層欠陥フリーGaN基板は実現されていなかった。本研究成果は、積層欠陥フリーで高品質・大面積であり、商業的には安価となるため今後の非極性面の研究を加速的に上げられる可能性を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
InGaNの成長に関しては、非極性面InGaNの新たな技術として横方向成長技術(ELO)まで展開することに成功した。当初の予定ではInGaNの単純な積層であったが、ELOによりより高品質なInGaNを作製可能であることを示すことができ、研究課題提案時よりも一歩進んだ結果を得ることができた。Jounal of Crystal Growthへの投稿も進めている。 非極性面GaNの高品質化では、大阪大学との共同で、非極性面GaNにおいて積層欠陥フリーのGaN基板の作製に成功した。本技術を用いることで、これまでは小片でしか積層欠陥フリーのGaNは入手しがたい状況であったが、原理的にはサファイアの口径に順ずるサイズが入手可能であることを示すことができた。この結果も研究当初の計画よりも格段に優れたものである。積層欠陥フリーで高品質・大面積であり、商業的には安価となるため今後の非極性面の研究を加速的に上げられる可能性を示している。
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Strategy for Future Research Activity |
Naフラックス法で成長させた非極性面GaNにおいて積層欠陥フリーのGaN基板上に、InGaN、AlGaN層を成長させる予定である。高品質の非極性面GaN基板が実現できているため、当初の研究計画を遂行する。歪制御及び欠陥低減効果のあるAlGaN、InGaN、AlGaNヘテロ中間層の成長と臨界組成・臨界膜厚の定量的評価を行う。また、欠陥の無いヘテロ中間層の構造・成長条件を確立する。欠陥導入の無いヘテロ中間層の成長条件を確立した後、偏光特性の制御を目的に、近紫外線~緑色発光デバイス構造をMOVPE法を用いて作製する。発光層であるInGaN/GaN多重量子井戸の評価にはPL測定によりヘテロ中間層上発光層の光学評価を行い、偏光子を使用して偏光特性に重点を置き評価する。非極性面GaN基板上にへテロ中間層を有した発光デバイスの偏光特性が制御できていることを実証する。LEDにおいては、偏光度の大きなデバイスを作製し、電流駆動にて液晶用LEDのデモンストレーションを行う。LDを見据えた偏光特性の制御に関しては、基礎特性の評価として光励起による誘導放出・レーザー発振の検討を行い発振モード制御、発振しきい値低減の可能性について探る。一方、逆バイアス印可PLや発光波長シフトの評価による内部電界の影響の評価(非極性面研究のきっかけとなった物理現象)をはじめ、低温PLによる内部量子効率を見積もり、外部量子効率の測定など、非極性面発光デバイスの本質的な効率に関する評価も実施する。
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Causes of Carryover |
InGaNの成長に関しては、非極性面InGaNの新たな技術として横方向成長技術(ELO)まで展開したが、当初の予定であったInGaN、AlGaNの成長に展開するまでにいたらなかったため、成長にかけるコストが低減した。 また、非極性面GaNの高品質化では、大阪大学との共同で、非極性面GaNにおいて積層欠陥フリーのGaN基板の作製に成功した。この研究課題については非常に研究がスムーズに進行したため、コストが低減した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度遂行に至らなかったInGaN、AlGaNの成長に使用する。
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