2016 Fiscal Year Research-status Report
Development of crystal defect revelation technique for next-generation power semiconductor material Ga2O3
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16K17516
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Research Institution | Japan Fine Ceramics Center |
Principal Investigator |
姚 永昭 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 上級研究員 (80523935)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 転位 / X線トポグラフィー / エッチピット |
Outline of Annual Research Achievements |
【概要】H28年度は、対象材料であるGa2O3における転位を観察する手法の開発を中心に研究を進め、同時に、巨視的な結晶品質をウエハ・スケールで評価し、必要な物性データベースを構築した。 【放射光X線トポグラフィー】 化学エッチングによる転位検出・分類の精度を検証するために、非破壊で欠陥分布を観察しておく必要がある。高エネルギー加速器研究機構の放射光施設を利用し、Ga2O3転位のX線トポグラフィー観察を行った。X線のエネルギーや入射角、結晶の回折面などの観察条件を変えて、Ga2O3(-201)面基板及びGa2O3(010)基板の転位分布を高分解能CCD又は原子核乾板で記録した。基板全体を一遍に撮影することができないことから、現段階の市販基板は結晶曲率半径が短い(約20~30m)とわかった。 【エッチピット欠陥検出法の開発】 エッチピット法は欠陥周囲の残存歪みを利用して、転位箇所にピット(穴)を形成させる手法である。アルカリ性溶融液のみのエッチングでは、KOH+NaOH混合液の中で、Ga2O3(010)基板を340~490℃で3~10分間エッチングした。また、酸化剤の効果を検討するため、上述した混合液にNa2O2を添加して490℃で3分間エッチングし、形成したピットを観察した。 【結晶品質の評価】 X線回折(XRD)およびラマン分光を用い、Ga2O3単結晶の結晶性を評価した。XRDでは、(-603)面回折を利用し、theta-2theta、omega rocking curveおよび逆空間格子マッピングを観察した。ラマン測定では、波数100~2000cm-1 の範囲で、入射光の偏光が0°、90°、又は非分光でラマンスペクトルをとり、ピークの強度とピークシフトを評価した。また、2インチウエハの全面を5mm間隔でラマンマッピングを観察し、ウエハの歪みや結晶性の分布を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
高エネルギー加速器研究機構(KEK)の放射光施設フォトンファクトリー(Photon Factory)を利用することによって、Ga2O3転位のX線トポグラフィー観察ができ、各種転位の分布を計画以上の高精度で評価した。 また、エッチピット法の開発においては、KOHやNaOHのようなアルカリ性薬剤、および強い酸化剤Na2O2からなるエッチング剤を利用して、Ga2O3の化学エッチング処理を行い、形成したピットをX線トポとの比較ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
①X線トポグラフィーの観察結果を高精度で解析し、Ga2O3の転位分布や転位形成機構を検討する。 ②エッチピット転位検出・分類法の開発を続け、ピットの形状と X線トポグラフィーで得られた転位情報の相関を検討し、エッチピット法の精度を検証する。 ③必要に応じて、ピット直下にある転位を透過型電子顕微鏡で観察し、転位構造を原子レベルで評価する。
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Causes of Carryover |
①高エネルギー加速器研究機構の課題公募に採択されたため、放射光施設フォトンファクトリーを無料で利用することができた ②高温エッチング処理装置の機種選定および調達方法の工夫により、当初より設備投資の節約ができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
更なる広い範囲でエッチング条件を検討するため、対象材料である基板の購入に充てることとしたい
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