2016 Fiscal Year Research-status Report
テラヘルツ近接場測定技術を用いた擬似局在表面プラズモンの時空間分解測定
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16K17529
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
有川 敬 京都大学, 理学研究科, 助教 (70598490)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 擬似局在表面プラズモン / テラヘルツ / 近接場 / メタマテリアル |
Outline of Annual Research Achievements |
テラヘルツ周波数帯における回折限界による制限を取り除くための有力なツールとして、擬似局在表面プラズモンに着目し、その基礎的性質を調べた。擬似局在表面プラズモンの性質は金属構造の大きさに依存することが理論的に示されている。今年度は微細加工技術を用いて様々な大きさの金属構造を作成することで、このことを実験的に確かめた。その結果は理論的予測を概ね一致しており、擬似局在表面プラズモンの性質を制御することに成功した。また、軌道角運動量を持つ光渦を用いた高次擬似局在表面プラズモンの励起を行った。その結果、全角運動量の保存を満たす選択則が確認できた。これは、可視域のプラズモニクスで予測されていた結果と同じであり、擬似局在表面プラズモンがその名の通り擬似的に局在表面プラズモンの性質を再現していることを示した。これらの結果は、擬似局在表面プラズモンを用いる事で、可視域プラズモニクスで実現している高分解能、高感度測定技術をテラヘルツ帯に応用できる可能性を示している。 より高い空間分解能で擬似局在表面プラズモンを調べるために、測定システムの改善を行った。具体的には、より薄い測定用結晶(電気光学結晶)を用いた。しかし、薄い結晶を用いると信号強度が非常に小さくなる。本研究ではノイズを大幅に削減できる測定技術を取り入れることで、測定を可能にした。その結果、約5マイクロメートルの空間分解能を実現した。この測定システムの改善により、次年度からのさらなる発展的な研究を行う下地が整ったと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、金属構造の微小化に伴う擬似局在表面プラズモンの特性の変化を観測することができた。その結果は理論的予測と概ね一致していた。このことは、実現可能な電場の微小ホットスポットの下限には到達していないことを示しており、さらなる微小化が可能であることを示唆している。また、測定システムの空間分解能の向上に関しては、計画当初にはなかった新しい測定技術を取り入れることで、大きく改善することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に高い空間分解能を持つ測定システムを実現したことで、当初計画していた実験が可能になった。具体的には、光渦を用いた高次の擬似局在表面プラズモンを用いた電場の微小ホットスポット実現や、様々な金属構造を用いた擬似局在表面プラズモンの制御に取り組む。
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Causes of Carryover |
学会参加費に含まれていた飲食代が当初の想定より少なく、請求額が少なくなったから。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度の物品費として有効活用する。
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