2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K17543
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
山田 圭介 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線高度利用施設部, 研究員(定常) (10414567)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イオン源 / 負イオン / フラーレン |
Outline of Annual Research Achievements |
MeV級エネルギーのフラーレン(C60)イオンビームは高感度材料分析や新機能材料開発を可能にする新たなツールである。現在、MeVエネルギーへの加速には国内外のタンデム加速器が用いられているが、得られるビーム強度の低さが課題となっている。これを克服するためには、イオン源から引き出されるC60負イオン強度の高強度化が不可欠な要素である。本研究では、熱電子をC60に直接付着させる電子付着方式の新たな負イオン源を開発し、高強度のC60負イオンを生成するイオン源技術の確立が目標である。 平成28年度は、負イオン生成試験用イオン源の設計・製作及びC60負イオン生成試験を行った。本イオン源はイオン生成チェンバー、C60試料昇華用オーブン、及びイオン生成チェンバー内に電子を供給する電子源によって構成した。電子源は市販の電子銃を使用してイオン生成チェンバー外部より入射する構造とした。本イオン源を、質量分析電磁石を備えたテストベンチに搭載し、C60負イオン生成試験を行った。イオン生成チェンバーに入射する最適な電子ビームのエネルギーを探索するため、エネルギーを1~300eVの範囲で変化させた結果、電子付着断面積が最大となる5eV付近でビーム強度が極大の100pAとなった。一方、20eV以上で再び増加し、300eVにおいて最大の300pAとなった。さらに、イオン生成チェンバーを加熱して、その内壁に付着したC60を再昇華させることで、300eVにおけるC60負イオンビーム強度を10nAと約30倍にできることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
電子付着方式による負イオン生成の基礎的なデータを取得するため、先行して市販の電子銃を用いた負イオン生成試験用イオン源の設計、製作を行った。さらに、負イオン生成試験を実施し、C60負イオンの生成を確認した。当初予定していたチェンバーに導入する電子の大電流化は未実施であるが、翌年度以降に予定していたイオン源の製作及びC60負イオンの生成確認を先行して行ったため、計画の遅れは埋め合わせることができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
負イオン生成量を増加させるためには、導入する電子電流の増加に加えて、イオン生成チェンバー内のC60蒸気圧を高めることが必要である。そのため、チェンバー内部にフィラメントを追加する。フィラメントを加熱することで、熱電子放出による電子の供給及びC60蒸気再昇華のためのチェンバー加熱を行う。必要なフィラメント材質や形状の検討を行い、負イオン生成量の増加を図る。
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Causes of Carryover |
負イオン生成試験用イオン源の製作に当たり、既存所有部品の使用により予算の節約ができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
真空部品及びC60試料等の消耗品の購入に使用する
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Research Products
(1 results)
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[Presentation] フラーレン負イオン源の開発2016
Author(s)
山田圭介、千葉敦也、横山彰人、齋藤勇一、鳴海一雅
Organizer
第13回日本加速器学会年会
Place of Presentation
幕張メッセ (千葉県・千葉市)
Year and Date
2016-08-08 – 2016-08-10