2018 Fiscal Year Annual Research Report
Research of crystal structures for hydrogen hydrate with high-pressure neutron diffraction experiments and its implication in many fields of science
Project/Area Number |
16K17547
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Research Institution | 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び中性子科学センター(研究開発 |
Principal Investigator |
町田 真一 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び中性子科学センター(研究開発, 中性子科学センター, 研究員 (30554373)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 水素ハイドレート / 中性子回折 / 結晶構造解析 / 高圧 / ダイヤモンドアンビルセル |
Outline of Annual Research Achievements |
水素ハイドレートは、水分子が水素結合によりフレームワーク構造を作り、その中に水素分子を内包することで形成される固体結晶である。氷惑星やその衛星中に水素ハイドレートが偏在し、水素分子のリザーバとして、天体の形成や進化に重要な影響を及ぼしている可能性がある。このことから、氷天体内部に匹敵するような高圧条件下による物性を明らかにすることは非常に重要な課題であったが、従来の研究手法では構造内の水素の情報を得ることが難しかった。本研究では、水素原子の情報を直接得ることができる、中性子回折実験の手法を採用することで、水素ハイドレートの高圧構造を詳細に決定することを目指した。 高圧中性子実験にはダイヤモンドアンビルセル(DAC)と呼ばれる高圧発生装置を用いることとしたが、従来の DACでは、加圧することのできる試料体積が小さく、中性子実験では十分な強度を得ることができなかった。そこで、本研究期間内に、新たなDACの開発を行った。その結果として、従来の装置と比較し100倍程度の初期試料体積を加圧することができるようになった。このことで、水素ハイドレートの高圧中性子回折実験を行うことが可能となった。 最終年度には、水素ハイドレートや氷単体を試料として、高圧下における中性子回折実験を行った。得られた中性子回折パターンを用いて構造解析を行った結果、10万気圧以下のような低圧では、氷の結晶構造について水素位置を含めた原子配置を決定することができた。 一方で、DACを用いた実験では、入射中性子の一部がダイヤモンドによって吸収され、また高圧下ではその影響がより強くなることが明らかとなった。このため、高圧下の回折パターンについて構造解析を行うためには、この吸収プロファイルの補正が必要となる。補正方法の開発は現在取り組んでおり、これが解決し次第、得られた中性子パターンについて結晶構造解析を行う予定である。
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Research Products
(1 results)