2016 Fiscal Year Research-status Report
圧縮性流体・固体の熱連成現象に対する多相場解析手法の改良と実用問題への適用
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16K17552
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鳥生 大祐 京都大学, 学術情報メディアセンター, 助教 (60772572)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 流体・固体熱連成 / 圧縮性流体 / 多相場解法 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である2016年度は,研究代表者らがこれまでに開発を行ってきた圧縮性流体と固体の熱連成現象に対する多相場解析手法に改良を加え,圧縮性流体と固体の間で密度や比熱,熱伝導率などの物性値が異なる問題にも適用可能な手法を提案した.なお,流体は理想気体,固体は変形せず静止していると仮定する.本手法の特徴としては,混相流の分野で提案されている一流体モデルに基づき,圧縮性流体と固体から構成される多相場を1つの混合体としてモデル化する.したがって,本手法では相の境界形状に適合する計算格子を生成する必要がなく,複雑な形状の固体を含む場合にも単純な直交構造格子を用いて流体と固体の熱連成を計算することが可能である.また,本手法は流体の圧縮性を考慮するため,時間,空間的に温度や圧力が大きく変化し,非圧縮性流体として扱えない問題にも適用することが可能である. 本年度は,特に混合体の運動量や熱伝導を計算する際に,固体の物性値を適切に考慮する手法を新たに提案した.これにより,例えば気体と金属のように,密度や比熱,熱伝導率などが大きく異なる場合にも本手法を適用することが可能となった. 提案した手法は,例えば熱伝導性固体を含むキャビティ内の自然対流計算に適用され,相境界に適合する計算格子を用いた既往の計算結果と比較した.その結果,十分に細かい計算格子を設定することで,本手法による結果と既往の計算結果が概ねよく一致することを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,2016年度内に固体の物性値を適切に考慮した計算手法の構築,検証を行うことができたため,概ね順調に進展していると考えられる.ただし,手法の構築が完了したのが年度後半であったため,成果発表については本年度中に全てを行うことはできなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2017年度は,2016年度に構築した計算手法をさらに複雑な問題に適用し,既往の実験結果等と比較して手法の妥当性を確認する予定である.具体的には,発熱円柱群からの自然対流などを検討している.また,2016年度分も含め,研究成果を積極的に発表していく.
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Causes of Carryover |
計算手法の構築が完了したのが年度後半であり,学会発表や論文投稿などの成果発表を本年度中に全て行えなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度の成果を速やかにまとめて学会発表や論文投稿を行う予定であり,次年度使用額はこれに使用する.
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