2020 Fiscal Year Research-status Report
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16K17560
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
松本 雄也 東京理科大学, 理工学部数学科, 助教 (50773628)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | K3曲面 / 群スキーム / Kummer曲面 / 正標数 / 還元 |
Outline of Annual Research Achievements |
代数多様体へのμ_p,α_p作用は,大域的なベクトル場であって所定の条件を満たすものと一対一に対応する.昨年度までのK3曲面へのμ_p,α_p作用や高さとの関係に関する研究をふまえて,K3曲面上の大域的ベクトル場のなすrestricted Lie代数の構造について調べた.K3曲面の高さが有限な場合には可能なLie代数の構造をすべて決定し,高さ無限の場合にも次元の上からの評価などの結果を得た.論文は投稿に向けて準備中である.
K3曲面の有名な例の一つとしてKummer曲面があり,これはアーベル曲面を-1倍写像(が生成する位数2の群)で割って特異点を解消して得られる曲面をさす.ただし,標数が2でかつもとのアーベル曲面が超特異であるときは,特異点の性質が悪くなり結果としてKummer曲面はK3曲面にならない.ところで,標数が2以外のときのKummer曲面は上記の構成の特異点解消の例外曲線16本が張るNeron-Severi格子の部分格子を用いて特徴づけることができる.そこで,標数2のK3曲面に対してこの格子を用いた性質がKummer曲面に類似の性質をもつかを調べている,例えば,この16本の曲線で分岐するμ_2被覆をもち(μ_2は位数2の群の類似と思うことができる),この被覆は正規ではないがアーベル曲面と同じ数値的性質をもつことを示した.応用として標数0のKummer曲面の標数2での良い還元に関する結果が見込まれる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
標数pのK3曲面上のベクトル場や標数2のKummer曲面に関して満足のいく進展を得た.
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Strategy for Future Research Activity |
群スキームμ_pやα_pの作用,標数2のKummer曲面に関して今年度までに得た結果を発展させて,虚数乗法をもつK3曲面の正標数還元の性質への応用を探る.K3曲面以外の代数多様体への一般化もあわせて考察する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で,国内外に出張することができなかった.感染が終息したら出張を再開する.
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