2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K17562
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大島 芳樹 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (10746936)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Lie群 / ユニタリ表現 / 誘導 / 制限 / 余随伴軌道 |
Outline of Annual Research Achievements |
Lie群の既約ユニタリ表現に関して、表現の指標、誘導や制限などの操作と軌道の方法との関連を調べている。 2017年度は、自明表現からの誘導表現の零化イデアルについての結果を得た(Benjamin Harris氏と共同)。一般にGを実簡約代数群、Hをその部分代数群としたときに、Hの自明表現からの誘導は等質空間G/H上の関数空間への表現になる。この表現を、GのLie環の普遍包絡環の表現とみなしたときの零化イデアルを考えている。Hがユニモジュラーの場合に、このイデアルが、ある無限個の一般Verma加群の零化イデアルの共通部分を含むことがわかった。証明には、ユニモジュラー群は観測可能(observable)部分群となること、および有限次元表現の誘導の既約分解に関する補題を用いた。またモーメント写像の像についてのKnoppの結果により、上述の一般Verma加群はG/Hのモーメント写像の像で記述できることがわかる。これは軌道の方法から予見されることと整合的である。さらに零化イデアルの情報を用いることで、誘導表現の既約分解に現れる表現は、ある部分旗多様体上のねじれD加群の大域切断として実現できることがわかった。大雑把に言えば、HがGの比較的大きな部分群であるとき、誘導表現の既約分解に現れる表現は、ある程度退化しているということを意味している。 2016年度に得られた指標の結果等と、この2017年度の結果を合わせることで、誘導表現の既約分解についてより精密な情報が得られることを期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度得られた結果は、一般的な設定で誘導表現の零化イデアルを記述するものであり、誘導表現の既約分解に現れる表現が限られることが、代数的な手法によって明らかになった。部分旗多様体のD加群としての実現は、表現の指標の漸近挙動を調べる上で有効である。 研究目的であるユニタリ表現の誘導や制限の既約表現への分解と、対応する余随伴軌道の幾何との関連を考える上で、2016年度に得られた表現の指標の結果とともに重要な役割を果たすと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2016年度に得られた半単純軌道に対する表現の指標と余随伴軌道との関係の具体的な記述、および2017年度に得られた誘導表現の零化イデアル、既約分解に現れる表現の部分旗多様体のねじれD加群としての実現を用いて、誘導表現の既約分解についてより精密な情報を得たい。また、表現の制限に関しても零化イデアルについて2017年度に得られた結果と同様のことが成立すると思われるため、表現の制限についても既約分解についての情報、また余随伴軌道との関係を調べたい。
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Causes of Carryover |
(理由)2017年度は当初の計画よりも、当該分野の情報収集が可能な研究集会が少なく、また必要な文献、論文のうち無料で公開されているものがあったため、申請額よりも使用額が少なくなった。
(使用計画)2018年度は、必要な文献の購入、また国内外の研究集会に参加して情報収集を行うとともに、得られた研究成果を発表する。そのための物品費、旅費として使用する計画である。
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