2017 Fiscal Year Research-status Report
量子アフィン代数の有限次元表現の古典極限に関する研究
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16K17563
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
直井 克之 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40647898)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 量子アフィン代数 / Kirillov-Reshetikhin加群 / 結晶基底 |
Outline of Annual Research Achievements |
Kirillov-Reshetikhin加群は, T系と呼ばれる完全列を満たす, フェルミ型指標公式が成り立つ,など様々なよい性質を持ち, 量子アフィン代数の有限次元既約加群のもっとも重要なクラスとして, 古くから様々な研究がなされてきた。Kirillov-Reshetikhin加群が持つその他の重要な性質として, 結晶基底と呼ばれるよい性質を持つ基底の存在が古くから予想されており, 非例外型の場合は尾角-Schillingにより実際に証明がなされている。しかしながら例外型の場合は, 古典型部分量子展開環に制限した場合に, 重複度が自由でなくなるなど加群の構造がより複雑になるため, いまだ多くの場合で予想の証明がなされていない。私はrankの小さな例外型であるG_2^{(1)}型とD_4^{(3)}型の場合に, Kirillov-Reshetikhin加群の結晶基底の存在を示した。これは加群のfusion構成を用い, 余積の作用を具体的に計算することで得られた結果である。対象はやや限定的であるが, 重複度自由でないKirillov-Reshetikhin加群の結晶基底の存在を初めて示したものであり, 意義のある結果であると考えている。今後さらに他の型のKirillov-Reshetikhin加群に対しても結果を拡張するとともに, 古典極限との関連についてもさらに深く研究を行っていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Kirillov-Reshetikhin加群は本研究の中心的な研究対象の一つであり, 「Kirillov-Reshetikhin加群は結晶基底を持つ」という予想は, 古くからある非常に重要な予想である。今年度の研究実績は, この予想の解決への大きな一歩であると考えており, そのような結果が得られたことは, 研究の順調な進展を示唆していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
より多くの型に対し, Kirillov-Reshetikhin加群の結晶基底の存在証明を目指す。その際に, 標準基底の理論が役に立つであろうと期待している。またKirillov-Reshetikhin加群を含むより大きな既約加群のクラスであるminimal affinizationについて, その古典極限に関する考察を行っていく。
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Causes of Carryover |
今年度は研究集会が比較的近い場所で開催されることが多く、そのため旅費の請求が少なく抑えられた。来年度は研究発表のために使用していく予定である。
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